十三夜と霜降——2026年は同じ10月23日。欠けた月を愛でる日と、霜への備え

霜のついた落ち葉 季節の花

秋の月見といえば、まず思い浮かぶのは中秋の名月でしょう。けれど日本には、そのおよそひと月後にもう一度、月を眺める夜があります。それが「十三夜(じゅうさんや)」です。満月にはまだ少し届かない、ふっくらと欠けた月。その月をあえて愛でるという、ちょっと不思議で、どこか日本らしい風習です。

2026年の十三夜は10月23日(金)。そして同じ10月23日は、二十四節気の「霜降(そうこう)」にもあたります。霜が降りはじめる頃、という意味の節気です。月を見上げる夜と、足もとの冷え込みに気づく日が、今年はぴたりと重なりました。

この記事では、十三夜ならではの楽しみ方と、霜降の頃に知っておきたい植物の霜対策、そして紅葉が色づく仕組みまでを、順を追ってご紹介します。月を眺めたあと、ベランダの鉢植えにも少しだけ目を向けていただけたらうれしいです。

2026年は十三夜と霜降が同じ10月23日

十三夜は、旧暦(昔の月の満ち欠けを基準にした暦)の9月13日の夜の月を指します。旧暦の毎月1日は新月の日にあたるため、新月の日がわかれば十三夜の日付も決まります。

国立天文台の暦要項によると、2026年10月の新月(朔)は10月11日。この日が旧暦9月1日にあたり、そこから数えて13日目の10月23日が十三夜になります。同じく暦要項では、霜降は10月23日(太陽が黄経210度に達する時刻は18時38分)とされています。

ちなみに、この秋の満月(望)は10月26日の13時12分。十三夜の月は満月の3日ほど手前で、右側がふくらみ、左側がわずかに欠けた姿で夜空に昇ります。夕方の早い時間から東の空に見え、夜が更けるにつれて南の空高くへと移っていきます。

2026年の暦メモ(国立天文台 暦要項より)

  • 十五夜(中秋の名月):9月25日(金)
  • 十三夜:10月23日(金)
  • 霜降:10月23日(金)
  • 満月:10月26日(月)
  • 立冬:11月7日(土)

十三夜と霜降はどちらも暦の上の日付ですが、決め方がまったく違います。十三夜は月の満ち欠け、霜降は太陽の動きで決まるため、毎年同じ日に重なるわけではありません。そう思うと、今年の重なりも少しだけ特別に感じられます。

十三夜とは——「後の月」と呼ばれる、日本生まれの月見

お客様
お客様

お月見って十五夜だけだと思っていました。十三夜もあるんですか?

店長
店長

はい、旧暦9月13日の月を愛でる十三夜は、日本で生まれた風習と考えられています。

精霊くん
精霊くん

栗や豆がとれる頃だから「栗名月」「豆名月」とも呼ばれるんだって。おいしそうな名前だよね。

中秋の名月(旧暦8月15日の月)を楽しむ習わしは、中国から伝わったものとされています。一方、旧暦9月13日の月を愛でる十三夜は、日本で生まれた風習と考えられています。

始まりについてはいくつかの説がありますが、よく知られているのは、平安時代の延喜19年(919年)に宮中で催された月の宴がきっかけになった、というものです。その後、貴族から武家、そして江戸時代には町の人々にも広まっていきました。

十五夜の月を「前の月」、十三夜の月を「後の月(のちのつき)」と呼び分けることもあります。ひと月前の名月の余韻を、もう一度静かに味わう夜。そんな位置づけだったのかもしれません。

十三夜の月見は、十五夜ほど広く知られてはいません。それでも、カレンダーに小さく「十三夜」と書かれているのを見つけて、ふと夜空を見上げる方もいらっしゃるでしょう。大がかりな準備をしなくても、窓辺で月を眺める数分間があれば、それだけで十分に十三夜を味わえます。

「栗名月」「豆名月」——収穫を祝う月

十三夜には「栗名月(くりめいげつ)」「豆名月(まめめいげつ)」という別名があります。ちょうどこの時期に栗や大豆、枝豆が収穫の時を迎えることから、それらを月に供えたのが名前の由来とされています。

十五夜が「芋名月」とも呼ばれ、里芋の収穫と結びついていたのと同じように、十三夜もまた、その季節に実ったものへの感謝を表す行事だったと考えられます。月見はただ風流を楽しむだけでなく、実りを祝う暮らしの節目でもあったのです。

  • 栗:ゆでたり、栗ご飯にしたりして供えます。殻つきのまま器に盛るだけでも秋らしい雰囲気になります。
  • 枝豆・大豆:さやつきの枝豆をゆでて供えるほか、地域によっては豆を使った料理を用意することもあります。
  • そのほか:柿やぶどうなど、その時期に出回る果物を添える家庭もあります。

お供えの内容や並べ方は、地域や家によって異なります。決まった形にとらわれず、手に入る秋の実りを少し用意するだけでも、十三夜らしい食卓になります。

欠けた月を美しいとする心——『徒然草』の一節から

十五夜がほぼ満ちた月を眺めるのに対して、十三夜の月はまだ少し欠けています。完成する手前の、余白を残した月です。わざわざ満ちきらない月を愛でる、その感覚を考えるとき、よく引き合いに出されるのが、鎌倉時代末期に吉田兼好が書いた随筆『徒然草』の第137段です。その冒頭には、こんな一節があります。

「花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは」

花は満開のときだけを、月は曇りなく照り輝いているときだけを見るものだろうか——という問いかけです。兼好はこのあと、雨の夜に見えない月を思うことや、散りかけた花の庭にも味わいがあることを書き連ねていきます。

十三夜の月は、まさに「これから満ちていく」途中の月です。完全なものより、少し欠けたもの、移ろっていくものに心を寄せる。この感覚は、花を飾るときにも通じるところがあります。満開の花だけでなく、まだ固いつぼみや、少し色の変わりはじめた葉にも、その時期にしかない表情があります。

十三夜の夜には、少し欠けた月と、移ろいはじめた草花を一緒に眺めてみる。そんな楽しみ方もすてきだと思います。

片見月と「十三夜に曇りなし」——月見にまつわる言い伝え

アルバイト君
アルバイト君

十五夜を見逃したら、十三夜は見ないほうがいいんですか?

店長
店長

片方だけは縁起が悪いという言い伝えもありますが、重んじ方は地域や家によってさまざまです。

店長
店長

見逃してもあまり気にせず、十三夜の月をゆっくり眺めればいいと思いますよ。

片見月(かたみづき)は縁起が悪い?

十五夜の月見をしたら、十三夜の月見もする。片方だけを見るのは「片見月(かたみづき)」といって縁起が悪い——そんな言い伝えが各地に残っています。「片月見(かたつきみ)」と呼ぶ地域もあります。

なぜ片方だけではいけないのか、その理由ははっきりとはわかっていません。二つの月見をそろえて行うことで、実りへの感謝をきちんと形にする意味があったのでは、という見方もあります。また、十五夜によそで月見をした人は、十三夜も同じ場所で月を見るべき、とする話も伝わっています。

ただし、どこまで重んじるかは地域や家によってさまざまです。今年の十五夜を見逃してしまった方も、あまり気にしすぎず、十三夜の月をゆっくり眺めていただければと思います。

「十三夜に曇りなし」

十三夜には「十三夜に曇りなし」という言葉もあります。十五夜の頃は秋雨前線がとどまりやすく、すっきりしない夜空になることが少なくありません。一方、十三夜の頃になると、移動性高気圧(西から東へ移り変わっていく高気圧)に覆われて晴れる日が増える傾向がある、と気象情報でも紹介されています。

もちろん、毎年かならず晴れるわけではありません。それでも、空気が澄み、月の輪郭がくっきりと見えやすい季節であることはたしかです。そしてこの「よく晴れて風の弱い夜」は、植物にとっては霜に注意したい夜でもあります。その話は、霜降の章でくわしくお伝えします。

霜降とは——霜が降りはじめる頃の七十二候

霜降は、二十四節気(1年を24に分けて季節の移り変わりを表したもの)の18番目にあたります。秋の最後の節気で、次の立冬(2026年は11月7日)からは暦の上で冬になります。その名のとおり、朝晩の冷え込みが増し、地域によっては霜が降りはじめる頃です。

二十四節気をさらに約5日ずつ3つに分けたものを七十二候といいます。霜降の期間には、次の3つの候があります。

  • 初候「霜始降(しもはじめてふる)」:10月23日頃〜。霜が降りはじめる頃。朝、草の葉や地面がうっすら白くなる様子を表しています。
  • 次候「霎時施(こさめときどきふる)」:10月28日頃〜。ときおり小雨が降る頃。さっと降ってはやむ、晩秋らしい通り雨のことです。
  • 末候「楓蔦黄(もみじつたきばむ)」:11月2日頃〜。もみじや蔦(つた)の葉が色づく頃。山から里へと紅葉が下りてくる季節です。

霜降という言葉には、霜そのものだけでなく、秋の終わりの空気の冷たさや、朝露が白く変わっていく景色への感覚が込められています。昔の人は、草の葉に置く露の様子で季節の進み具合を感じ取っていました。秋の節気が白露、寒露、霜降と続くのも、露が冷え、やがて霜になっていく移り変わりを表しているといわれます。

ただし、霜降の頃に実際に霜が見られるのは、主に北日本や内陸、山あいの地域です。東京の都心などでは、霜が降りるのはもっと先になるのが一般的です。暦の言葉は、季節がこれから向かう方向を教えてくれる道しるべのようなもの、と受けとめるとよいでしょう。

とはいえ、都市部でも郊外や川沿い、開けた庭などでは、思ったより早く冷え込むことがあります。次の章では、霜が植物に与える影響と、その備え方をご紹介します。

霜が植物を傷める仕組みと、霜に弱い植物

お客様
お客様

気温が0℃より上なのに、霜が降りることってあるんですか?

店長
店長

あります。晴れて風の弱い夜は、地面や葉の表面が予報の気温よりずっと冷えるんです。

精霊くん
精霊くん

ボクたち熱帯生まれの観葉植物は、寒さへの備えが少ないんだ。早めにおうちに入れてほしいな。

霜はどんな夜に降りるのか

霜は、空気中の水蒸気が冷えた地面や葉の表面で凍りついたものです。気温が0℃を下回らなくても霜が降りることがあるのは、地面や葉の表面が、天気予報で発表される気温よりもずっと冷たくなるからです。

天気予報の気温は、地面から1.5メートルほどの高さで測った空気の温度です。よく晴れて風の弱い夜は、地面や葉から熱が空へ逃げていく「放射冷却」が強くはたらき、地表付近だけがぐっと冷え込みます。そのため、一般に予報の最低気温が3〜4℃まで下がると、霜が降りる可能性が出てくるとされています。気象台が出す霜注意報も、最低気温3℃以下などを目安にしている地域が多くあります(基準は地域ごとに異なります)。

霜に気をつけたい夜の目安

  • 予報の最低気温が5℃を下回りはじめたら、霜に弱い植物の置き場所を考えはじめる
  • 最低気温3〜4℃の予報が出たら、霜よけか取り込みを
  • よく晴れて風が弱い夜は、同じ気温でも霜が降りやすい
  • 霜注意報が出たら、その夜のうちに対策を

植物の中で何が起きているのか

植物の体は、たくさんの小さな部屋(細胞)でできていて、その中には水分がたっぷり含まれています。強い冷え込みで植物の中の水分が凍ると、氷の結晶が細胞の膜を傷つけたり、細胞のまわりにできた氷に水分を奪われて細胞がしぼんでしまったりします。

一度こうして傷んだ細胞は、気温が上がっても元には戻りません。霜にあたった翌朝、葉が黒っぽく透けたように見えたり、日中になってぐったりとしおれたりするのはこのためです。葉の縁や先端、新しく伸びたやわらかい芽から傷みやすいのも特徴です。

寒さへの強さは、植物によって大きく異なります。寒い地域で育ってきた植物は、冬に向けて体の中の糖分を増やすなどして、凍りにくい体に変わっていく仕組みを持っています。一方、暖かい地域で生まれた植物にはこの備えが少なく、わずかな霜でも傷んでしまうことがあります。

霜に弱い植物の例

  • 観葉植物:ポトス、モンステラ、ゴムの木、パキラなど。もともと熱帯の植物が多く、霜どころか10℃前後を下回ると弱りはじめるものもあります。夏の間ベランダに出していた鉢は、霜降を待たずに室内へ戻すのがおすすめです。
  • 多肉植物の一部:多肉植物には寒さに強い種類もありますが、カランコエやアロエの一部、夏に育つタイプのものなどは霜で傷みやすいとされています。葉に水分を多く含むため、凍ると見た目にもすぐ傷みが出ます。
  • ゼラニウム:ある程度の寒さには耐えますが、霜にあたると葉や茎が傷みやすい植物です。鉢植えなら軒下や室内の明るい窓辺へ移すと安心です。
  • そのほか:ハイビスカス、ブーゲンビリアなどの熱帯の花木、夏花壇で楽しんだ一年草なども、霜にあたると枯れてしまうことが多くあります。

同じ植物でも、品種や株の大きさ、それまでの育ち方によって寒さへの強さは変わります。手元の植物の耐寒性(寒さにどこまで耐えられるか)がわからないときは、購入したお店や園芸ラベルで確認しておくと安心です。

霜降の頃にしておきたい霜対策

霜対策の基本は、「冷えた空気と冷たい地面から植物を離すこと」と「夜の間に熱が逃げるのを防ぐこと」の2つです。鉢植えか地植えかによって、できることが少し変わります。

鉢植えは「取り込み」と「置き場所の工夫」

  • 室内へ取り込む:観葉植物や寒さに弱い鉢植えは、最低気温が10℃前後になってきたら取り込みの目安です。いきなり暗い場所へ移すと弱りやすいので、明るい窓辺に置きましょう。
  • 取り込む前のひと手間:枯れた葉を取り除き、鉢の裏や葉の裏に虫がついていないか確認してから室内へ。受け皿にたまった水も捨てておきます。
  • 軒下や壁ぎわへ移す:ある程度寒さに耐える植物なら、屋根のある軒下や、建物の南側の壁ぎわへ寄せるだけでも霜を防げることがあります。
  • 地面から離す:鉢を直接コンクリートの上に置かず、台やすのこの上に置くと、冷えた地面の影響を受けにくくなります。

室内に取り込んだあとも、窓ぎわは夜になると外と同じくらい冷え込むことがあります。寒い夜は、窓から少し離れた場所へ移すか、厚手のカーテンを閉めて冷気をさえぎると安心です。また、暖房の風が直接あたる場所は乾燥しすぎるので避けましょう。

地植えや大きな鉢は「霜よけ」で覆う

  • 不織布をかける:園芸用の不織布(布のように薄いシート)をふんわりとかけると、夜の間に熱が逃げるのを和らげてくれます。植物に直接べったり触れないよう、支柱を立てて少し浮かせるとより効果的です。
  • 夕方にかけて、朝に外す:霜よけは日が暮れる前にかけ、翌朝、日が当たって暖かくなったら外します。かけっぱなしにすると蒸れたり、日光不足になったりすることがあります。
  • 株元をマルチングする:腐葉土やバークチップ、わらなどで株元を覆うと、根のまわりの土が冷えにくくなります。
  • ビニールを使うときは注意:ビニールは保温力がありますが、植物に直接触れた部分は冷えやすく、日中は中が蒸れて高温になりがちです。使う場合は葉に触れないようにし、日中は開けて風を通しましょう。

霜が降りやすい場所を知っておく

同じ庭やベランダの中でも、霜の降りやすさには差があります。空が大きく開けた場所は熱が逃げやすく、霜が降りやすくなります。反対に、軒下や木の下など、上に覆いのある場所は冷え込みがやわらぎます。また、冷たい空気は重く低いところにたまるため、くぼ地や塀に囲まれた低い場所も注意が必要です。

ベランダでは、手すりの近くや床の上が冷えやすい一方、室内側の壁ぎわは比較的暖かく保たれます。寒さに少し弱い鉢を、冬のあいだだけ壁ぎわに寄せておくのもひとつの方法です。

水やりのタイミングも見直す

寒くなってきたら、水やりは晴れた日の午前中に済ませるのが基本です。夕方に水をやると、夜の冷え込みで土の中の水分が冷え、根を傷める原因になることがあります。気温が下がると植物の水を吸う力も弱まるので、土の表面が乾いてから与えるくらいの間隔に少しずつ切り替えていきましょう。

もし霜にあたってしまったら

霜にあたった翌朝、すぐに日当たりのよい場所へ移すと、急に温まることでかえって傷みが進むことがあるといわれます。まずは日陰でゆっくり温度を戻し、傷んだ葉や茎は、数日様子を見て傷みの範囲がはっきりしてから切り取るとよいでしょう。根や株元が無事であれば、春になって新しい芽を出してくれることもあります。

紅葉が始まる仕組み——緑の葉が赤や黄色に変わるわけ

アルバイト君
アルバイト君

葉っぱの黄色って、秋になってから新しく作られる色なんですか?

店長
店長

黄色はもともと葉にあって、緑が抜けると見えてくるんです。赤は新しく作られる色ですね。

精霊くん
精霊くん

夏の間はクロロフィルの緑に隠れてただけなんだ。ちょっとした変装みたいでしょ?

霜降の末候「楓蔦黄」が示すように、この頃から山や街の木々が色づきはじめます。葉の色が変わる仕組みは、少しだけ理科の話になりますが、知っておくと紅葉を見る目が変わります。

緑の正体はクロロフィル

葉が緑色に見えるのは、光合成(光のエネルギーで栄養をつくるはたらき)を担う「クロロフィル(葉緑素)」という色素がたくさん含まれているからです。実は葉の中には、黄色やオレンジ色の「カロテノイド」という色素も、春や夏から含まれています。ただ、クロロフィルの緑が濃いので、ふだんは隠れて見えません。

黄色くなる葉——隠れていた色が見えてくる

秋になって日が短くなり、気温が下がってくると、落葉する木は冬に備えて葉を落とす準備を始めます。そのとき、葉の中のクロロフィルは分解され、その栄養は枝や幹へと回収されます。緑が抜けていくと、もともとあったカロテノイドの黄色が表に出てきます。イチョウやカツラなどの黄葉は、この仕組みによるものです。

赤くなる葉——新しくつくられる色

一方、モミジやナナカマド、ニシキギなどの赤い葉は、クロロフィルが分解されるのと同時に、「アントシアニン」という赤い色素を新しくつくり出すことで色づきます。アントシアニンは、葉の中にたまった糖分などをもとにつくられると考えられています。

一般に、最低気温が8℃を下回る頃から色づきが始まり、5〜6℃を下回るようになると一気に進むといわれます。昼はよく晴れて暖かく、夜はしっかり冷え込む。そんな寒暖差の大きい日が続くと、色鮮やかな紅葉になりやすいとされています。「十三夜に曇りなし」の澄んだ夜は、紅葉にとっても大切な夜なのかもしれません。

なお、茶色くなる葉は、葉の中の成分が変化してできる褐色の色素によるものです。同じ木でも、日当たりや冷え込み方によって色づき方が違うのは、こうした色素のでき方が少しずつ異なるためです。

十三夜に飾りたい花と、秋の実りのしつらえ

十三夜の飾りつけは、中秋の名月ほど決まった形がありません。そのぶん、晩秋らしい草花や実りを自由に組み合わせて楽しめます。ここでは、十三夜らしさを出すための組み合わせをご紹介します。

晩秋の草花を低めに

この時期は、秋明菊(シュウメイギク)、リンドウ、ワレモコウ、小菊、ホトトギスなど、落ち着いた色合いの秋の花が出回ります。月を眺める窓辺に飾るなら、背の高いものを一本挿すより、花瓶を低めにして数種類をこんもりまとめると、月の邪魔をせずに秋の気配を添えられます。

  • リンドウ:深い青紫が、澄んだ夜空の色によく合います。水揚げがよく、日持ちしやすいのもうれしいところです。
  • ワレモコウ:小さな暗い赤の花穂が、晩秋らしい渋さを添えてくれます。乾きやすいので、水はこまめに足しましょう。
  • 小菊:白や黄色の小菊は、月の色を思わせる組み合わせになります。
  • 秋明菊:すっと伸びた茎の先に咲く花が、欠けた月の静けさとよくなじみます。

紅葉の枝ものを一本

色づきはじめたドウダンツツジやニシキギ、モミジなどの枝ものを一本加えると、ぐっと季節感が増します。枝ものは、切り口に縦に切り込みを入れたり、斜めに切ったりして水を吸いやすくしてから生けると長持ちします。室内の暖かい場所では葉が早く落ちやすいので、なるべく涼しい場所に飾りましょう。

栗や枝豆を添えて「栗名月」「豆名月」らしく

花の横に、栗や枝豆を小さな器に盛って添えると、ひと目で十三夜らしいしつらえになります。いがつきの栗が手に入れば、それだけで晩秋の雰囲気が出ます。ゆでた枝豆はそのままいただけるので、お月見のあとのおつまみにもなります。

晩秋は気温が下がって切り花が長持ちしやすい季節ですが、水が汚れると茎の切り口が詰まり、水を吸いにくくなります。花瓶の水は2〜3日に一度を目安に取り替え、そのときに茎の先を少し切り戻すと、花をより長く楽しめます。

飾る量は、ほんの少しで十分です。器ひとつ、花瓶ひとつでも、月を眺める時間がいつもより豊かなものになります。


月は満ちる手前、空気は澄み、足もとにはそろそろ霜の気配。2026年の10月23日は、秋が深まっていくさまを空と地面の両方から感じられる一日です。

十三夜の月を見上げたら、その足でベランダや庭の植物にもひと声かけてあげてください。取り込む鉢を決めたり、不織布を用意したり。冬支度の小さな準備が、春の芽吹きにつながっていきます。欠けた月を美しいと思える夜に、移ろう季節をゆっくり味わっていただけたらと思います。


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