8月13日 迎え盆——なぜ東京は7月盆で、全国は8月盆なのか

花屋さん

2026年8月13日、木曜日。今日から全国の多くの地域で、お盆が始まります。

——ここで、東京にお住まいの方は少し不思議に思われるかもしれません。「お盆って、先月終わったのでは?」と。

そうなんです。東京の多くの地域では、お盆は7月13日から16日。もう一か月も前に、迎え火を焚いて、送り火で見送っています。それなのに、8月に入るとテレビもニュースも「まもなくお盆」と言い出す。帰省ラッシュの映像が流れ、実家からは「13日には帰ってくるでしょう?」と電話が来る。

お客様
お客様

東京の家では7月にお盆を済ませたんです。でも夫の実家が長野で、8月にもう一度お盆をやると言われて……。私、年に二回お盆をしていることになるんでしょうか?

店長
店長

毎年この時期、同じご相談をいただきます。おかしなことではありません。日本には、お盆が二つあるんです。どちらかが間違っているわけでもありません。

この記事では、お盆の飾り方や作法の話はしません。それは迎え盆——お盆飾りの意味、精霊馬・鬼灯・みそはぎ、おがらお盆中日——そもそもお盆とは?歴史とお花を飾る理由ですでに詳しくご紹介しました。

今日の主役は、「なぜ日本には二つのお盆があるのか」という、その地域差そのものです。ここを知っておくと、帰省先で慌てなくて済みますし、何より、自分の家のお盆がどこから来たのかが少し見えてきます。


まず日程から——2026年の月遅れお盆はいつ?

細かい話に入る前に、今年の日程を確認しておきましょう。8月に行うお盆、いわゆる「月遅れ盆」「8月盆」の2026年の日取りは次のとおりです。

  • 8月13日(木)/迎え盆・迎え火。ご先祖様をお迎えする日
  • 8月14日(金)/中日(なかび)。ご先祖様と過ごす日
  • 8月15日(土)/中日。地域によってはこの日が送り盆
  • 8月16日(日)/送り盆・送り火。ご先祖様をお見送りする日

「4日間」と書きましたが、地域によっては8月13日から15日の3日間を、お盆と数えるところも少なくありません。15日の夕方に送り火を焚くご家庭もあれば、16日の朝に送るご家庭もあります。このあたりからすでに、地域差が始まっているわけです。

2026年は、迎え盆の13日が木曜日。14日の金曜を休めば、そのまま土日につながります。帰省される方にとっては、比較的動きやすい並びと言えるかもしれません。逆に言えば、13日から16日にかけては新幹線も高速道路も、そしてお花屋さんの店頭も、一年でいちばん混み合う数日間になります。


なぜ日本には二つのお盆があるのか——明治の改暦という分かれ道

結論から言うと、この「二つのお盆」は、明治時代の暦の切り替え(改暦)がきっかけになったと言われています

明治5年、12月が2日で終わった年

1872年(明治5年)11月、明治政府は太政官布告第337号、いわゆる「改暦ノ布告」を出しました。その内容は、今から考えるとかなり乱暴です。

明治5年12月2日をもって、それまでの暦(太陰太陽暦=いわゆる旧暦)を廃止する。その翌日を、明治6年1月1日とする。

つまり、明治5年の12月は2日までしかありません。大晦日も、年越しもなかった。ある日眠って起きたら年が明けていた、という年が日本の歴史には実在するのです。布告から実施まで一か月もありませんでしたから、当時の混乱は相当なものだったと想像されます。

精霊くん
精霊くん

年末が消えた……。ぼくらご先祖様を迎える側からしたら、「今年のお盆はいつなんだ?」って大混乱だったんじゃないかなあ。

旧暦の7月15日は、新暦ではいつになるのか

ここが、お盆にとっての分かれ道でした。

もともとお盆は、旧暦の7月15日を中心とした行事でした。旧暦は月の満ち欠けをもとにした暦ですから、15日といえば必ず満月です。夜通し灯りが必要な迎え火・送り火の行事にとって、これは理にかなった日取りだったはずです。

ところが新暦に切り替わると、旧暦の日付と新暦の日付は一致しません。旧暦の7月15日は、新暦に置き換えるとおおむね8月中旬から9月上旬あたりに相当し、しかも年によって日付が動きます。

そこで、選択肢が生まれます。

  • 「7月15日」という数字をそのまま新暦に持ってくる/日付は固定されて分かりやすい。ただし季節は一か月ほど早まる
  • 季節感を優先して、新暦で一か月遅らせる/だいたい旧暦の頃と同じ季節に行える。これがいわゆる「月遅れ」
  • 旧暦のまま続ける/毎年日付が動くが、本来の日取りを守れる

この三つの選択が、そのまま今の7月盆・8月盆・旧暦盆に対応しています。日本に二つ(正確には三つ)のお盆があるのは、この時の判断が地域ごとに分かれたまま、150年経ったから——と言われています。

なお、この経緯については資料や説明のしかたに幅があり、細部については諸説あります。「政府が7月盆を指示した」という説明もあれば、「都市部が自然に新暦に合わせただけだ」という説明もあります。ここでは「そう言われている」という書き方にとどめておきます。断定できるほど、この話は単純ではありません。


農繁期という現実——一か月ずらした地域が多かった理由

では、なぜ多くの地域が「一か月遅らせる」を選んだのでしょうか。

よく挙げられるのが、農作業の都合です。新暦の7月中旬というのは、田んぼも畑もいちばん手のかかる時期にあたります。稲の管理、夏野菜の収穫、草取り。そこへ「ご先祖様をお迎えし、親族が集まり、三日ほど仕事を止める」という行事を差し込むのは、当時の農村にとって現実的ではなかった、と言われています。

一方、8月中旬なら、地域によっては農作業がひと段落する頃。しかも、旧暦の頃のお盆とだいたい同じ季節感になります。「新しい暦には従う。ただし、日付は一か月ずらして、いつもの季節にやる」——これが月遅れという発想です。

店長
店長

「月遅れ」という考え方は、お盆だけのものではないんです。七夕を8月に行う地域があるのも、同じ発想からと言われています。暦は変わっても、季節は変わりませんから。

言われてみれば、7月7日の七夕はたいてい梅雨のまっただ中で、星がほとんど見えません。旧暦の七夕なら夏の終わり、空気が澄み始める頃です。仙台の七夕まつりが8月に行われるのも、この月遅れの考え方によるものとされています。

暦は国が決められても、季節と暮らしのリズムは国が決められない。二つのお盆は、その静かな抵抗の跡だと考えると、少し見え方が変わってきます。


どこが7月盆で、どこが8月盆か——「地域差が大きい」が正解

ここが、いちばん誤解を招きやすいところです。先にお伝えしておくと、「〇〇県は7月盆」と地図で塗り分けられるほど、話は単純ではありません。

大まかな傾向

  • 7月盆(新暦盆)/東京の一部、南関東の都市部などで見られます。静岡・愛知の一部など、都市部を中心に7月盆の地域があるとされます
  • 8月盆(月遅れ盆)/全国的にはこちらが多数派で、地域の8割前後がこれにあたるという説明もよく見かけます
  • 旧暦盆/沖縄などで今も旧暦のまま行われています。2026年の沖縄の旧盆は8月25日(火)〜27日(木)にあたります

同じ都内でも、同じ市内でも違う

「東京は7月盆」とよく言われますが、これも正確ではありません。東京都内でも、多摩地域の一部などでは8月盆が一般的とされています。かつて養蚕がさかんだった地域では、7月が繁忙期にあたったため月遅れを選んだ、という説明を目にすることがあります。

同じ県内で分かれることも、同じ市内で分かれることも、隣の集落と違うことすらあります。市町村合併を経て、一つの市の中に7月盆の地区と8月盆の地区が同居している、というケースも珍しくありません。

スタッフ君
スタッフ君

じゃあ、お客様に「ご実家は何月のお盆ですか?」って聞いても、答えられない方もいらっしゃいますよね……。

店長
店長

そうなんです。だから私たちは「ネットに書いてあった〇〇県のお盆」ではなく、「ご実家では、いつお迎えしていますか」と伺うようにしています。土地ではなく、その家の慣習が答えなんです。

いちばん確実なのは、その家の年長の方に聞くこと。次に確実なのは、菩提寺(お付き合いのあるお寺)に伺うことです。お寺は檀家さんを回る棚経(たなぎょう)の日程を組んでいますから、地域の実情をいちばん正確に把握しています。


「旧盆」「月遅れ盆」「新盆」——ややこしい言葉を整理する

お盆の話が分かりにくくなる最大の理由は、言葉が重なって使われていることにあります。ここで一度、整理しておきましょう。

新暦盆(7月盆・新盆)

新暦の7月13日〜16日に行うお盆。東京の一部など、都市部に見られます。「新暦どおりのお盆」という意味で新盆と呼ばれることがあります。この記事の冒頭で触れた、東京の7月のお盆がこれです。

月遅れ盆(8月盆)

新暦の8月13日〜16日に行うお盆。今日、8月13日から始まるのがこれです。新暦の日付を一か月ずらしたもので、日付は毎年固定されています。「月遅れ盆」というのがいちばん正確な呼び方ですが、世間ではこれを「旧盆」と呼ぶことのほうが多いのが実情です。

旧暦盆(本来の旧盆)

旧暦の7月13日〜15日に行うお盆。毎年、新暦での日付が動きます。沖縄などで今も行われており、2026年は8月25日〜27日にあたります。厳密に言えば「旧盆」とはこちらのことですが、日常会話ではあまり区別されていません。

お客様
お客様

つまり、8月のお盆を「旧盆」と呼ぶのは、厳密には少し違うということですか?

店長
店長

厳密にはそうなりますが、間違いだと申し上げるつもりはありません。長く使われてきた呼び方には、それだけの理由があります。ただ、沖縄の方と話すときは「旧盆」が別の日を指すことがある、と知っておくと行き違いが減りますよ。


「新盆」にはもう一つの意味がある——これがいちばん紛らわしい

ここは、お花屋さんとしていちばん気をつけているところです。

「新盆」という言葉には、まったく別の、そしてこちらのほうがずっと広く使われている意味があります。

故人が亡くなり、四十九日の忌明けを過ぎてから初めて迎えるお盆。これを新盆(にいぼん/しんぼん/あらぼん)、あるいは初盆(はつぼん/ういぼん)と呼びます。読み方は地域によってさまざまで、どれが正しくてどれが間違いということはありません

つまり「新盆」という一つの言葉が、

  • 7月に行う、新暦どおりのお盆(暦の話)
  • 故人を初めてお迎えする、特別なお盆(供養の話)

という、まったく違う二つの意味で使われているわけです。前者は地域の暦の話、後者はご家庭のご事情の話。重みがまるで違います。

スタッフ君
スタッフ君

「新盆のお花をお願いします」って言われたとき、どっちの意味か分からなくて固まってしまったことがあります。聞き返していいものか迷って……。

店長
店長

必ず伺ってください。「初めてお迎えになるお盆でいらっしゃいますか」と。この聞き方なら、どちらの意味でも失礼になりません。分からないまま用意するほうが、よほど失礼になります。

初めてお迎えするお盆は、白を基調にした落ち着いた花あしらいをお選びになる方が多く、ご用意する側の心構えも変わります。故人を初めてお迎えするお盆のお花については、お盆と花屋——供花・お供え・初盆までで詳しくご紹介しています。


帰省するお盆の実務——「実家のやり方」がいちばん強い

8月盆のいちばんの特徴は、多くの人にとって「帰省するお盆」だということです。7月盆が自分の家で静かに営むお盆だとすれば、8月盆は移動して、親族と顔を合わせて、その土地のやり方でお迎えするお盆になります。

ここで大事なのが、「調べた作法」より「その家の作法」を優先することです。

実家のやり方に合わせる

お盆の作法は、宗派によっても、地域によっても、そして家によっても違います。飾る場所、飾るもの、火を焚く時間、お供えの内容、迎えに行く先(家の玄関か、お墓か)。どれも「正解」が一つではありません。

ですから、嫁ぎ先や配偶者のご実家に帰省する場合、いちばん確実なのは先に一本電話を入れて、聞いてしまうことです。

  • 迎え火は何日の何時ごろ焚きますか(それに合わせて到着時刻を決められます)
  • お花は用意しておいたほうがいいですか、それとも家で用意されますか
  • お墓参りはいつ行きますか
  • お寺さん(棚経)は何日に来られますか
  • 持って行ったほうがいいものはありますか

「知らないこと」は失礼ではありません。聞かずに勝手に進めることのほうが、あとで気まずくなります。そして多くの場合、聞かれた側は喜びます。自分の家のやり方を尊重されたということですから。

迷ったら菩提寺に聞く

ご家族に聞ける方がいらっしゃらない、あるいはご家族も判断がつかない、という場合は、菩提寺に伺うのがいちばん確実です。宗派によっては、そもそも精霊馬や迎え火を用いない考え方をとるところもあります。ネットの一般論より、そのお寺の答えが優先されます。

お盆の直前はお寺もいちばん忙しい時期ですから、聞くなら7月中か、8月の頭までに。短い電話で済みます。


お花は現地で買うか、持って行くか——花屋からの本音

帰省するお盆ならではの悩みが、これです。毎年ご相談をいただきます。結論から言えば、移動時間と気温次第です。

持って行く場合

いちばんの利点は、花を自分で選べること。故人が好きだった花、ご家族の顔が浮かぶ色あい。そういう選び方ができるのは、行きつけのお花屋さんで買うからこそです。

問題は、8月の移動が花にとって過酷だということです。新幹線の車内は冷房が効いていますが、駅までの徒歩、乗り換えのホーム、タクシー待ちの数分——そのわずかな時間が真夏の直射日光だと、花はしおれます。特に厳しいのは車移動です。トランクの中は、車内より遥かに高温になります。花を入れてはいけません。

持って行くなら、こんな段取りがおすすめです。

  • 出発する日の朝いちばんに受け取る(前日夜に買って一晩置くより、当日朝のほうが確実です)
  • お花屋さんに「長距離を移動します」と伝える/保水を厚めにし、日持ちする品種を中心に組んでもらえます
  • 新聞紙や不織布で包んでもらい、直射日光を当てない
  • 車なら、エアコンの効いた車内の足元に置く。トランクは厳禁
  • 到着したら、すぐに水切りをして水に入れる

到着後の扱いは、そのまま日持ちを左右します。水切りの手順や、夏に長持ちさせるコツは切り花を長持ちさせる方法まとめにまとめてありますので、帰省前に一度目を通しておかれると安心です。

現地で買う場合

移動が長い、乗り換えが多い、小さなお子さん連れで荷物が多い——そういう場合は、現地調達のほうが確実です。花は移動しないほうが元気です。これはもう、動かしようのない事実です。

ただし、注意点が一つ。お盆期間中の地方のお花屋さんは、想像以上に混みます。特に迎え盆の13日は、朝から仏花を求める方が列を作ることも珍しくありません。午前中で主力の花が売り切れる店もあります。

ですから、現地で買うと決めたなら——

  • 数日前に電話で予約しておく/これがいちばん確実です
  • 12日に到着できるなら、前日のうちに買っておく
  • お墓参り用と仏壇用で本数が変わるので、そこも伝えておく
  • 実家に花器があるか確認しておく(なければアレンジメントや、そのまま飾れる形に)
精霊くん
精霊くん

そっか、ぼくらを迎えるお花にも、こんなに段取りがいるんだなあ。ありがたいなあ。

真夏に強い花を選ぶ

8月のお盆は、7月盆よりさらに気温が上がっている時期です。花の選び方も、少し変わります。

比較的暑さに耐えてくれるのは、菊類(輪菊・スプレーマム)、りんどう、ケイトウ、グラジオラス、アスター、トルコキキョウなど。りんどうは涼しげな青紫が仏花によく合い、この時期に出回る代表格です。ケイトウは花もちがよく、独特の質感が花束に厚みを出してくれます。

逆に、水を大量に必要とする草花や、開ききってしまった大輪の花は、屋外のお墓では長くもちません。お墓に供えるなら、茎がしっかりして、つぼみが残っているものを選ぶと、翌日以降の姿がきれいです。


8月13日の夕方、迎え火を焚く

迎え盆当日のことも、簡単に触れておきます。

一般的には、13日の夕方、あたりが暗くなり始める頃に、玄関先や門口でおがら(皮をはいだ麻の茎)を焚きます。焙烙(ほうろく)という素焼きの皿の上で焚くのが伝統的な形です。この煙と灯りを目印に、ご先祖様が帰ってこられる——そういう考え方です。

お墓まで提灯を持って迎えに行く地域もあれば、家の前で焚くだけの地域もあります。集合住宅で火が使えない場合は、盆提灯やLEDの灯りで代えるご家庭も増えました。形が変わっても、迎える気持ちが変わらなければそれでいい——というのが、私たちが年配のお客様から教わってきたことです。

精霊馬(きゅうりの馬となすの牛)、鬼灯(ほおずき)、みそはぎ。それぞれの飾りが何のためのものかは、迎え盆——お盆飾りの意味、精霊馬・鬼灯・みそはぎ、おがらで一つずつご紹介しています。7月盆の方に向けて書いた記事ですが、飾りの意味は8月盆でもまったく同じですので、そのままお使いいただけます。

そもそもお盆という行事がどこから来たのか、なぜ花を飾るのかについては、お盆中日——そもそもお盆とは?歴史とお花を飾る理由のほうにまとめてあります。


送り火の風景——京都の五山、長崎の精霊流し

8月盆には、7月盆にはない大きな見どころがあります。全国的に知られたお見送りの行事が、この時期に集中しているのです。

京都・五山の送り火(8月16日)

2026年8月16日(日)の夜、京都を囲む山々に火が入ります。午後8時の大文字を皮切りに、妙法、船形、左大文字、鳥居形と、5分おきに順に点火されていくのが例年の流れです。

観光行事のように語られることもありますが、本来はお盆に帰ってこられた精霊を送るための、大規模な送り火です。神楽坂で焙烙の上に焚く小さな火と、京都の山肌に燃える巨大な火。役割はまったく同じだと考えると、少し不思議な気持ちになります。

長崎・精霊流し(8月15日)

長崎の精霊流し(しょうろうながし)は、8月15日の夕方から夜にかけて行われます。その年に亡くなった方のご家族が、精霊船を曳いて市内を進み、流し場へ向かう行事です。

しめやかな行事を想像される方も多いのですが、実際には爆竹の音が絶えず、鉦が鳴り響く、非常に賑やかな見送りです。静かに送る地域もあれば、盛大に送る地域もある。どちらが正しいということはありません。お盆の地域差というのは、日付だけの話ではないのだと、こういう行事を知ると実感します。


ちなみに、8月13日は一粒万倍日でもあります

暦の話をしてきたので、もう一つだけ添えておきます。

2026年8月13日は、暦の上では一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)にあたります。一粒の籾が万倍にも実る、という意味で、何かを始めるのに縁起がよいとされる日です。

ただ、正直に申し上げると、お盆と一粒万倍日を無理に結びつける必要はないと思っています。お盆はご先祖様をお迎えする日であって、願かけをする日ではありません。開店や契約の日取りを気にされる方は、この日がお盆の入りと重なることも頭に置いておかれるとよい、という程度の話です。

店長
店長

ただ、一粒が万倍に実る日にご先祖様をお迎えするというのは、言葉の並びとしては悪くないなと思います。今の自分があるのは、たしかに一粒からつながってきた結果ですから。


二つのお盆があるということ

ここまで読んでくださって、こう思われた方もいるかもしれません。「結局、どっちが本当のお盆なの?」と。

答えは、どちらも本当のお盆です

150年前、国が暦を丸ごと入れ替えました。それも、一か月の猶予もなく。その大きな変化に対して、ある地域は「新しい暦に合わせよう」と考え、ある地域は「日付は動かしても、季節はずらさない」と考え、ある地域は「昔のままでいこう」と考えた。

どの判断にも、その土地の仕事があり、暮らしのリズムがあり、守りたかったものがありました。統一されなかったこと自体が、それぞれの土地が自分たちのやり方を手放さなかった証拠だと、私は思っています。

ですから、東京で7月にお盆を営んだ方が、8月に実家でもう一度お迎えするのは、二重でも間違いでもありません。二つの土地の記憶を、両方引き受けているということです。それはむしろ、豊かなことだと思います。

精霊くん
精霊くん

迎えてくれるなら、7月でも8月でも、ぼくらは嬉しいよ。灯りが見えたら、それを目印に帰るだけだから。


神楽坂・桔梗屋から

桔梗屋のある東京・神楽坂は、7月にお盆を迎える地域です。ですからこの店の店頭は、7月の頭からお盆の花で賑わい、中旬にひと段落します。

けれども8月に入ると、また少し違うご相談が増えてきます。「実家に帰るので、持って行ける花束を」「向こうのお仏壇に飾るので、崩れにくい形にしてほしい」「新幹線で3時間かかるんですが、もちますか」。7月と8月、二つのお盆の間に立つ店という感覚が、この季節にはあります。

帰省のお供にお花をお持ちになるなら、ぜひ移動時間と行き先の気温を教えてください。それだけで、花の選び方も、水の含ませ方も、包み方も変わります。到着したときにいちばんきれいであるように組む——それが、遠くへ行く花束を預かる店の仕事だと思っています。

お盆のお花全般についてはお盆と花屋——供花・お供え・初盆までを、飾りの意味については迎え盆——お盆飾りの意味、精霊馬・鬼灯・みそはぎ、おがらを、あわせてご覧ください。

今年のお盆が、7月であっても8月であっても。どうか穏やかな数日になりますように。


KIKYOYA FLOWERS

東京・神楽坂の花屋 桔梗屋

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