切り花を長持ちさせる方法まとめ——水切り・水替え・置き場所のコツを花屋が解説

瓶に活けられた野の花のブーケ 切り花の管理方法
出典:Wikimedia Commons / Unsplash (CC0)

「買ってきた花がすぐ枯れてしまう」——花屋にいると毎日のようにいただく相談です。実はちょっとしたコツで、切り花は驚くほど長持ちします。花屋・桔梗屋が切り花のケアに関する記事をまとめました。

店長
店長

水切り・水替え・置き場所——この3つさえ押さえれば、切り花は買った時の2倍以上長持ちしますよ!ぜひ試してみてください。


✂️ 基本のケア


🌹 花の種類別ケア


🛒 切り花ケアのおすすめアイテム

💧 クリザール フラワーフード 1L(プロも使う切り花延命剤)✂️ フラワーアレンジメント用 花切りバサミ

切り花には「両刃」の花鋏を——坂源ハンドクリエーション

花鋏には、上下どちらにも刃がある「両刃(りょうば)」と、剪定バサミのように片側だけに刃がある「片刃(かたば)」があります。両刃は茎の左右から同時に刃が入るので、力が中心へ均等に集まり、細く柔らかい茎にも負担をかけません。太い枝を断ち切るのが得意な片刃とは、そもそも役割が違うのです。

ですから、ご家庭で切り花を活けるなら両刃タイプ。桔梗屋がおすすめしているのが坂源(サカゲン)のハンドクリエーションです。切り花全般に使えて、刃にコーティングがしてあるので錆びにくく、持ち手の色も豊富。自分のテンションが上がる色を選べるのも、この鋏の楽しいところです。詳しくは切り花をもっと長く飾れるようにするには?でも解説しています。

フラワーフード(切り花延命剤)は「お花のごはん」です

花束を買ったときに、小さな袋がそっと添えられていたことはありませんか。「切り花延命剤」「フラワーフード」と書かれた、あの袋です。なんとなく捨ててしまったり、引き出しの奥にしまったままになっていたり——という方も、実は少なくありません。

桔梗屋の店長に「あれは結局、何なんですか」と尋ねてみたら、返ってきた答えがとても分かりやすかったので、そのままお伝えします。

店長
店長

「フード」というくらいですから、お花のご飯ですよ。

お花のご飯。言われてみればその通りなのですが、この一言に、フラワーフードの役割がほとんど詰まっています。順を追って見ていきましょう。

なぜ、切り花には「ご飯」が必要なのでしょう

まず、土に根を張って生きている植物の姿を思い浮かべてみてください。

店長
店長

自然界では、葉っぱで光合成をして、根から水分やミネラルを吸い上げて、それが花に供給されているんです。

植物は、葉で日の光を受けとめて糖(エネルギー)をつくります。同時に、根は土の中から水とミネラルを吸い上げます。つくったエネルギーと吸い上げた水分、その両方が茎を通って花へと届けられる——これが、地面に立っている植物の暮らし方です。花を咲かせ、蕾をふくらませ、色を濃くする。その全部が、この循環に支えられています。

ところが、切り花はどうでしょうか。

店長
店長

切り花は茎でカットされていますから、茎を水に入れているだけだと、水分しか供給されないんですよ。

ここが、切り花の一番大事なポイントだと思います。花瓶の中で起きているのは、「水を吸う」ことだけ。根はもうありませんし、部屋の中では葉が十分な光合成をするのも難しい。つまり切り花は、栄養を受けとる道を断たれたまま、それでも咲こうとしている状態なのです。

スタッフ君
スタッフ君

じゃあ、水だけだと咲かないってことですか?

店長
店長

いえ、それだけでも、花がもともと持っている力で蕾を咲かせたり、姿を維持することはできます。ただ、どうしてもエネルギーが足りなくて、色が濃くならなかったり、先端の蕾を咲かせる前に枯れてしまうことがあるんです。

「エネルギー切れ」は、こんなかたちで現れます

切り花は、茎の中に蓄えたぶんの力を使って咲きます。持ち出しのお弁当のようなもの、と言ってもいいかもしれません。そのお弁当が尽きたとき、花は静かにサインを出します。

  • 本来の色まで濃くならず、なんとなく淡いまま終わってしまう
  • 茎の下のほうの花は咲いたのに、先端の小さな蕾は咲かないまま枯れていく

スターチスやリンドウ、スイートピーのように、一本の茎に蕾がいくつも並ぶ花を飾ったとき、「上のほうまで咲ききらなかったな」と感じたことはありませんか。あれは、花の力が弱かったのではなく、最後まで咲かせるだけのエネルギーが足りなかったのだと考えると、腑に落ちます。

そこで登場するのが、フラワーフードです。花瓶の水に糖分を補ってあげることで、開花と維持をうしろから手助けする。根の代わりに、私たちが少しだけご飯を差し出す——そういう役割です。

では、お砂糖を入れればいいの?——ここが落とし穴です

お客様
お客様

糖分が要るなら、お砂糖を入れてもいいのかしら?

店長
店長

それが、糖分だけを花瓶に入れると、雑菌やバクテリアの餌になってしまうんです。だからフラワーフードには、殺菌剤も入っている。消毒しながらお花のご飯を供給してあげるものなんですよ。

ここが、フラワーフードのいちばん賢いところだと思います。栄養は、花にとってのご馳走であると同時に、水の中の目に見えない菌にとってもご馳走なのです。菌が増えれば水は濁り、ぬめりが出て、においも立つ。そして何より困るのは、その汚れが茎の切り口をふさいでしまうことです。

切り花は、茎の中を通る「導管(どうかん)」——水の通り道になっている細い管——を使って水を吸い上げています。切り口が菌や汚れで目詰まりすると、この管に水が入っていかない。花瓶にはたっぷり水があるのに、花はうつむいてしまう。「水があるのに、なぜか元気がない」という状態の多くは、これが原因です。

だからフラワーフードは、糖分と殺菌剤をセットで届けます。ご飯を出しながら、その場をきれいに保つ。片方だけでは成り立たない、二人三脚のような処方なのです。

精霊くん
精霊くん

ごはんと、おそうじ。ふたつ同時。

桔梗屋でも、実際に比べてみたことがあります

店長
店長

以前、お店でも実験したことがあるんです。花の種類や産地によって、もちろん力強さや持ちの良さは違いますけれど、同じ産地・同じタイミングで収穫された花で「フラワーフードあり/なし」を比べたら、差が出ました。やはり効き目はあります。

同じ産地、同じ収穫のタイミング。条件をそろえて比べたからこそ意味のある結果です。花は生き物ですから、産地が違えば、収穫日が違えば、そもそもの体力が違います。そこを揃えたうえで違いが出た、というのは、店頭に立つ人間にとって納得のいく手ごたえだったのだと思います。

使い方:希釈は50倍、水1Lに20ml

桔梗屋でお分けしているのは、クリザール(CHRYSAL)というオランダ生まれのフラワーフードです。世界中の花屋や生産者が使っている、切り花の世界では定番の存在です。

  • 希釈の割合は50倍。水1リットルに対して、クリザール20mlが目安です
  • 先に花瓶へ水を入れ、そこにフラワーフードを加えて、軽く混ぜてから花を生けます
  • たくさん入れれば長持ちする、というものではありません。分量は守ってください
店長
店長

多く入れたら花が持つわけではないので、量は守ったほうがいいです。

「効くものなら、多いほうがいいのでは」と思ってしまうのが人情ですが、ご飯と同じで、適量がいちばん体にやさしいのですね。小さな花瓶に生ける場合は、水の量に合わせて減らしてあげてください。

水は替えなくていい?——桔梗屋のおすすめ

クリザールのメーカー説明には「水は替えなくていい」と書かれています。殺菌成分が水をきれいに保ってくれるからです。ただ、店長の考えは少しだけ実際的です。

店長
店長

あまりにも濁っていたり、茎が傷んでいる場合は、水を替えて、切り口を切り戻してから、新しい水にフラワーフードを入れて飾ってほしいですね。

手順にすると、こうなります。

  • 水が濁ってきた、茎の先がぬるっとしている、と感じたら合図です
  • 花瓶の水を捨て、花瓶の内側もきれいに洗います
  • 茎の傷んだ部分を少し切り戻して、新しい切り口を出します
  • 新しい水に、あらためてフラワーフードを加えて生け直します

大切なのは、水を替えたときにフラワーフードも入れ直すこと。真水だけに戻してしまうと、せっかくのご飯がなくなってしまいます。花瓶そのものを清潔に保つことも、地味ですがとても効きます。

とくに、暑い季節に

店長
店長

特に暑い時期は水が濁りやすいので、ぜひ使ってみてほしいです。

気温が上がると、水の中の菌はぐんと増えやすくなります。朝はきれいだった花瓶の水が、夕方には白く濁っている——夏場にはよくあることです。水が濁れば切り口がふさがれ、花は水を吸えなくなる。暑さそのものより、この目詰まりのほうが花にはこたえます。

フラワーフードは、魔法ではありません。花がもともと持っている力を、最後まで出しきらせてあげるための小さな支えです。けれど「水しか受けとれない」という切り花の事情を知ってしまうと、あの小さな袋が、ずいぶん頼もしいものに見えてきませんか。

桔梗屋では、クリザールのフラワーフードをご用意しています。花束と一緒でも、フードだけでもお分けできますので、店頭で気軽にお声がけください。今日おうちにある花瓶の水を、ちょっとのぞいてみるところから始めてみてくださいね。


🍃 今日のひと押し【神門(しんもん)】

ツボ:神門(しんもん)の場所を示すイラスト

場所:手首の内側、小指側のシワの上にあるくぼみ
言い伝え:東洋医学で「心を落ち着けるツボ」として古くから親しまれてきました。

お花を活ける前に、両手首の神門をそっと押してひと呼吸。気持ちが整ってから花に向かうと、不思議と仕上がりが変わると言われます。

※伝統的な養生文化のご紹介で、効果を保証するものではありません。妊娠中・治療中の方は事前に医師にご相談ください。


KIKYOYA FLOWERS

東京・神楽坂の花屋 桔梗屋

季節のお花、観葉植物、贈りもののご相談を承っています。
ご自宅用の一輪から、お祝い・お供えのお花まで、どうぞお気軽に。

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