ゴールデンウィークが終わると、街の空気が少し変わります。連休の解放感がさっと引いて、また日常が戻ってくる——その切り替わりに、体と心がついていけなくなることがあります。「五月病」と呼ばれる状態です。
今回は、そんな時期に植物や花がどんな助けをしてくれるか、花屋の立場からお話しします。
①「五月病」ってそもそも何?

店長、連休明けってなんかだるくないですか?今朝も起きるのがつらくて……。

あはは、それが俗に言う「五月病」ってやつかもね。正式な病名じゃないんだけど、春に新しい環境で頑張りすぎた心と体が、連休でスイッチが切れると一気に疲れを出す——そういうパターンのことをいうんだ。

あ、なんかわかる気がします。やる気が出ないとか、眠れないとか、なんとなく気分が上がらないみたいな感じですか?

そう。この時期って、「部屋に緑を置きたくなって」ってふらっと来てくれるお客さんが増えるんだよ。ことばにはしないけど、なんとなく疲れてる——そういう気持ちが伝わってくることがある。
②植物が「心を癒す」は、科学的な話
「緑を見ると落ち着く」という感覚は、気のせいではありません。環境心理学の研究では、植物が視界に入るだけでストレスホルモン(コルチゾール)が低下し、副交感神経が優位になることが確認されています。
また、「注意回復理論(ART)」という考え方では、自然の要素(植物・水・空など)を眺める時間が、疲弊した注意力を回復させると説明されています。窓の外の木でも、机の上の一鉢でも、同じ原理が働いています。
③五月病の時期におすすめの植物・花
ラベンダー——香りで自律神経に働きかける
ラベンダーに含まれる「リナロール」という精油成分は、不安を和らげ、睡眠の質を改善する効果があることが研究で示されています。ポプリや小さな鉢植えを枕元や作業デスクに置くだけで、香りが静かに空間に広がります。
サンセベリア——夜、二酸化炭素を吸収する、寝室向きの植物
サンセベリア(トラノオ)は、多くの植物と違い夜間に二酸化炭素を吸収し、微量ですが酸素を放出します。眠りが浅い、という悩みがある方の寝室に置くのに向いた数少ない植物のひとつです。乾燥にも強く、水やりは月に1〜2回で十分。忙しい時期でも安心して育てられます。
ガーベラ——明るい色が気分を引き上げてくれる
色彩心理学では、赤・オレンジ・黄色などの暖色系が気分を前向きにする効果があるとされています。ガーベラの丸くて明るい花は、意識せずとも目に飛び込んでくる元気をくれます。切り花でも比較的長持ちするので、週に一輪、花瓶に飾る習慣から始めてみてください。
ポトス/モンステラ——育てやすさが「小さな自信」を育てる
五月病の時期に有効なのが「世話をする」行為そのものです。植物は毎日話しかけなくても育ちます。でも、「今日も生きてる」とひと目確認する習慣が、生活にリズムをつくり、小さな達成感を積み重ねてくれます。ポトスやモンステラは水やりを忘れても枯れにくいので、余裕がないときこそ向いています。
ミント・ハーブ——育てて香って、少しだけ前を向く
キッチンで育てるミントやバジルは、摘んで料理に使えるという「生活との接点」が魅力です。育てる→収穫する→食べるという小さなサイクルが、日常の中に楽しみをつくってくれます。
④今日からできる、3つの「緑の習慣」

職場のデスクに何か置きたいんですが、手入れが心配で。枯らしたら逆に落ち込みそうで……

そういう方には、エアプランツかサボテン系をおすすめしています。水やりはほぼ不要で、見た目もスッキリしているのでデスクにも馴染みやすいですよ。完璧に育てなくていい——それくらいの気持ちで始めてみてください。
- 朝、植物に水をやる——小さな世話が、一日の始まりを整えてくれます
- デスクに一輪の花を置く——ふと目が行く「緑のよりどころ」が、心を少し軽くします
- 週に一度、花屋に立ち寄る——旬の花を眺めるだけでも、気持ちがリセットされます
✨ 暦のはなし——一粒万倍日に、気持ちをリセット
日本の旧暦には「一粒万倍日(いちりゅうまんばいにち)」という吉日があります。小さな種が万倍に育つとされるこの日は、何かを新しく始めるのに最良のタイミング。月に4〜6回訪れるので、カレンダーアプリや暦サイトで確認してみてください。

ぼくの感覚でいうと、五月病でしんどいときって、部屋にも”よどんだ気”がたまりやすいんだよね。一粒万倍日に新しい植物を迎えるのって、気持ちのリセットとしてすごく理にかなってると思う!

そうだね。「今日からまた始めよう」という気持ちのスイッチを入れるのに、植物を一つ迎えるってすごくいい。吉日のパワーを借りて、自分に小さな変化をプレゼントしてみよう。
五月病でしんどい日が続いていても、暦の吉日をきっかけに動き始めてみるのも一つの方法です。ラベンダーやミントなど、香りのある植物は特に気分転換に向いています。「今日からまた、ちょっとずつ」——そんなスタートにぜひ。
旬の花を毎月お届け——お花の定期便
「花を買いに行く余裕もない」という時期こそ、定期便が力を発揮します。毎月旬の花が届くので、選ぶ手間なく、季節の彩りを受け取り続けることができます。
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桔梗屋から
五月病の時期、無理に元気を出そうとしなくていいと思っています。でも、窓辺に一鉢の緑があるだけで、朝の見え方が少し変わることがある。桔梗屋は、そんな小さなきっかけになれればと思っています。
🛒 花のある暮らし——おすすめアイテム
植物・フラワーライフをより豊かにするアイテムをまとめました。
✂️ プロ仕様の花切りバサミ(坂源 ハンドクリエーション)
切り花には「両刃」の花鋏を——坂源ハンドクリエーション
花鋏には、上下どちらにも刃がある「両刃(りょうば)」と、剪定バサミのように片側だけに刃がある「片刃(かたば)」があります。両刃は茎の左右から同時に刃が入るので、力が中心へ均等に集まり、細く柔らかい茎にも負担をかけません。太い枝を断ち切るのが得意な片刃とは、そもそも役割が違うのです。
ですから、ご家庭で切り花を活けるなら両刃タイプ。桔梗屋がおすすめしているのが坂源(サカゲン)のハンドクリエーションです。切り花全般に使えて、刃にコーティングがしてあるので錆びにくく、持ち手の色も豊富。自分のテンションが上がる色を選べるのも、この鋏の楽しいところです。詳しくは切り花をもっと長く飾れるようにするには?でも解説しています。
💊 切り花延命剤 クリザール(プロが使うフラワーフード)
フラワーフード(切り花延命剤)も使ってみてください
「フード」というくらいで、これはお花のご飯です。地面に立っている植物は、葉で光合成をし、根から水分やミネラルを吸い上げて花に届けています。けれど切り花は茎で切られているので、花瓶に挿しているだけでは水分しか受けとれません。エネルギーが足りないと、色が濃くならなかったり、先端の蕾が咲かないまま終わってしまうことがあります。
そこで糖分を補うのですが、糖分だけでは雑菌の餌になってしまうため、フラワーフードには殺菌剤もセットで入っています。消毒しながらご飯をあげる、という仕組みです。桔梗屋で扱っているクリザールの場合、希釈は50倍——水1Lに20mlが目安。多く入れれば長持ちするわけではないので、分量は守ってください。とくに水が濁りやすい暑い時期におすすめです。詳しくは切り花を長持ちさせる方法まとめでも解説しています。
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