「ノビオバーガンディ」(カーネーション)

花屋さん

今回はお花の紹介をしてみようかと思います。

第一回はカーネーションです!!と言いたいのですが、数あるカーネーションの品種の中の1つ。
「ノビオバーガンディ」です。

カーネーションと聞くと、多くの方が思い浮かべるのは母の日の赤やピンクではないでしょうか。やわらかい色、まるい形、優しい雰囲気。ところがこの「ノビオバーガンディ」は、その先入観をきれいに裏切ってくれる一本です。ワインを思わせる深い赤紫、花びらのふちのギザギザ、中心に向かってすっと濃くなっていく色。花束の中に一本入るだけで、全体の表情が引き締まります。

この記事では、「ノビオバーガンディ」という品種そのものの話から、そもそもカーネーションという花がどんな植物なのか、バーガンディという色名がどこから来たのか、濃い色の花が花束の中でどんな仕事をしているのか、そして家に持ち帰ってから少しでも長く楽しむための扱い方まで、ゆっくり順番にお話ししていきます。

アルバイト君
アルバイト君

そう言えば、花屋「桔梗屋」にはよく入荷しますよね!

店長
店長

この花は私が修行中に出会った花で、衝撃を受けた花の1つなんだ〜

ノビオって?

ところで、ノビオって何?ってなりますよね。
カーネーションの品種は全世界で数千種類あるそうで、日本の中でも1,000種類以上が流通しております。その中に「ノビオシリーズ」というのがあります。

ただ「ノビオ」が作った人の名前なのか、博士の名前なのかなど、はっきりとした公式の答えはないようです。
特徴としては、鮮やかな複色、バイカラーで大輪、花弁が大きくフリルなど魅力ある形です。
今回写真は無いのですが、「ノビオサムライ」「ノビオブラックハート」も魅力的な品種です!

「シリーズ」というのは、どういう意味なのか

花の名前を見ていると、「〇〇シリーズ」という言い方によく出会います。これは、共通する性質を持った品種のまとまりに、同じ頭の名前をつけて呼び分けているものだと考えるとわかりやすいです。同じ系統から生まれた仲間なので、花の大きさや花びらの質感、茎の丈夫さといった性格が似ていて、後ろの名前で色や模様の違いを表している、という形が多く見られます。

ノビオシリーズも同じで、「ノビオ」の後ろに色や雰囲気を表す言葉がついています。切り花の情報サイトや花材の卸売のページを見ていくと、ノビオバーガンディのほかにも、次のような名前が並んでいます。

  • ノビオバイオレット
  • ノビオストリアートピンク
  • ノビオバタフライ
  • ノビオバベル
  • ノビオパレット

名前を眺めているだけでも、紫、ピンク、複雑な模様……と、色の幅がずいぶん広いことが伝わってきます。ノビオシリーズ全体としては、紫やボルドー(濃い赤紫)を基調にした、複色の花色が目を引くグループとして紹介されていることが多いです。単色のはっきりした色ではなく、一本の花の中に色が混ざり合っているところが、このシリーズの共通した個性だと言えそうです。

どこから来ている花なのか

ノビオバーガンディは、切り花としては一年を通して市場に出てくる品種です。国内の産地としては千葉県の名前が挙がるほか、南米コロンビアからの輸入品もよく流通しています。カーネーションは高原の涼しい気候を好む花で、赤道近くでも標高の高い土地であれば安定して栽培できるため、コロンビアは世界的なカーネーションの産地として知られています。飛行機で運ばれてくるので、季節や相場によって入荷の顔ぶれが変わることもあります。

なお「ノビオ」という名前の由来については、花材の販売ページや品種の紹介ページを見比べても、育成者の説明にたどりつく情報は見当たりませんでした。はっきりしないものを、それらしく説明してしまうのは花屋としては気が引けるので、ここでは「由来はよくわからない」とそのまま書いておきます。

そもそもカーネーションは、どんな植物なのか

品種の話をする前に、カーネーションという花そのものを少しだけおさらいしておきましょう。あまりに身近な花なので、かえって知らないことが多い花でもあります。

ナデシコの仲間で、故郷は地中海のあたり

カーネーションの学名は Dianthus caryophyllus(ディアンサス・カリオフィルス)。ナデシコ科ナデシコ属の多年草で、原産地は南ヨーロッパから西アジアにかけての地中海沿岸と言われています。つまり、日本の秋の野に咲くカワラナデシコと、母の日のカーネーションは親戚同士ということになります。花びらのふちがこまかく切れ込んでいるところ、茎に節があってそこがぷくっとふくらんでいるところ。言われてみればたしかに似ています。

日本には江戸時代にオランダ経由で入ってきたとされ、そこから「オランダセキチク(阿蘭陀石竹)」という和名がつきました。石竹(セキチク)というのは中国から渡ってきたナデシコの仲間のことで、その「オランダから来た石竹」という意味です。ほかにオランダナデシコ、ジャコウナデシコ(麝香撫子)という呼び名も残っています。麝香、つまりよい香りを指す名前がついているとおり、カーネーションはもともと香りのある花で、品種によっては今でもスパイスのような甘い香りをほのかに持つものがあります。

母の日の花になったいきさつ

カーネーションが母の日と結びついたのは、アメリカでの出来事がきっかけです。1908年、アンナ・ジャービスという女性が亡き母を偲ぶ会を教会で開いた際に、母が好きだった白いカーネーションを飾ったことが始まりとされています。その後、1914年にウィルソン大統領が5月の第2日曜日を母の日と定め、国全体の記念日になりました。

日本に伝わったのは明治の終わりから大正にかけての頃で、キリスト教の関係者を通じて紹介され、戦後の1949年頃から5月の第2日曜日という形で定着していったと言われています。つまり、日本で「母の日といえばカーネーション」になってから、まだ100年も経っていないわけです。歴史のある習わしのようでいて、意外と新しい。花屋の店先に立っていると、そういう時間の感覚がおもしろく感じられます。

スプレー咲きとスタンダード咲き

切り花のカーネーションは、花のつき方で大きく2つに分けられます。花屋の店頭でよく耳にする「スプレー」「スタンダード」という言葉が、まさにこれです。

  • スタンダード咲き……1本の茎の先に、大きな花が1輪だけ咲くタイプ。一輪の存在感が強く、一輪挿しにも向きます。母の日の花束でよく使われるのもこちらです。
  • スプレー咲き……1本の茎が枝分かれして、小ぶりな花が数輪つくタイプ。1輪あたりは小さいものの、1本でボリュームが出るので、花束やアレンジメントを組むときに重宝します。

ノビオバーガンディは、スタンダード咲き、つまり一輪咲きのカーネーションとして流通しています。だからこそ、あの深い色とフリルのある花びらが、まっすぐ一輪で目に飛び込んでくるのですね。花束に入れるときも、たくさん束ねるというより、少ない本数で効かせる使い方が合う花です。

もうひとつ、選ぶときの目安を書いておきます。買うときは花の顔だけでなく、茎の節のあたりと、葉の色を見てみてください。節が黒ずんでいたり、茎がぐらついていたり、下葉が黄色くなっているものは、少し疲れているサインです。逆に、葉が青みを帯びて張りがあり、花のすぐ下のガクがしっかり閉じているものは、これから長く楽しめる可能性が高い一本です。

「バーガンディ」って、そもそも何色のこと?

品種名の後半、「バーガンディ」。この言葉は色の名前です。そしてその出どころは、フランスにあります。

ブルゴーニュのワインの色

バーガンディは、フランスの銘醸地ブルゴーニュ(Bourgogne)の英語読み「バーガンディ」から来た色名です。ブルゴーニュ地方で造られる赤ワインの、少し紫がかった深い赤——それをそのまま色の名前にしたものだと言われています。ですから、ただの「赤」ではありません。赤をベースにしながら、紫と黒のニュアンスが溶け込んだ、暗く沈んだ紅色。それがバーガンディです。

グラスに注いだ赤ワインを、明るいところで見たときの色を思い出してみてください。光が当たっているところは赤く、影になったところは黒に近い紫に見える。あの深さと奥行きが、バーガンディという色名の中身です。「ノビオバーガンディ」という名前は、まさにその色を花で表現しようとした名前だと考えると、しっくりきます。

ボルドー、ワインレッドとの違い

似た言葉に「ボルドー」「ワインレッド」があります。どれも赤ワインに由来する色名で、日常会話では厳密に区別されずに使われることが多いのですが、あえて分けるならこんな感じです。

  • バーガンディ……ブルゴーニュのワインの色。紫みを帯びた、やや明るさを残した深い赤。
  • ボルドー……ボルドー地方のワインの色。より黒みが強く、落ち着いた暗い赤。
  • ワインレッド……赤ワイン全般を指すゆるい言い方で、上の2つを含む広い呼び名。

花屋の現場では、この3つを厳密に呼び分けているわけではありません。ただ、お客様と色の相談をしているときに「もう少し黒っぽく」「もう少し赤みを残して」といった微妙な違いが話題になることはよくあります。同じ「濃い赤」でも、紫寄りか黒寄りかで、花束の印象はずいぶん変わるからです。

店長とバーガンディとの出会い

花の精
花の精

店長はこのお花をどこで知ったの〜?

店長
店長

私が花屋になるための修行先で知ることになったんだ!!

今から約15年前・・・花屋になるために、未経験の私を受け入れていただたお店で働かせていただいている時に、オーナーが仕入れてきた沢山のお花の中にこの「ノビオバーガンディ」があったんです。
それまで花に触れる機会なんてほとんどなく、毎日沢山の花を見るようになった中から、お!!!なんだこの花は!!!!めっちゃカッコいい〜

独立したら、絶対この花を仕入れるぞ〜!!絶対忘れないぞ〜!!!と、強く想いながら修行をしてました。

写真の一輪を見ていただくとわかりやすいと思います。花びらのふちは細かくギザギザと切れ込み、フリルのように重なっています。そして色。外側は明るさを残した赤紫、そこから中心へ向かうにつれて、じわりと濃く、黒に近い赤へ沈んでいきます。単色でべったり塗ったのではなく、一本の花の中に濃淡があるのです。だから、遠くから見たときと、手に取って近くで見たときで、印象がまるで違う。

カーネーションに対して「母の日の花」「やわらかくて優しい花」というイメージだけを持っていると、この一輪に出会ったときの驚きは大きいと思います。かわいらしいというより、渋い。甘いというより、大人っぽい。同じ花の名前でここまで表情が変わるのか、という発見が、花の世界の入り口にはよくあります。

何とも言えない色

今までのカーネーションは赤、ピンク、黄色、オレンジなど単色の物が多かったのですが、1本のお花の中に2色の色が入っているものや、グラデーションがかっているものが多くなってきました。
写真にもあるようにフリフリの部分から中心に向かって色が濃くなるところが、最高なんです。

複色の花が増えてきた背景

カーネーションは世界中で品種改良が重ねられてきた花です。日本の市場だけでも1,000種類以上が流通していると言われるほどで、毎年のように新しい顔ぶれが出てきます。かつては「はっきりした単色で、まとまった量が揃うこと」が求められていましたが、花の楽しみ方が多様になるにつれて、一本ごとに表情が違う複色の品種にも光が当たるようになりました。

複色の花のおもしろさは、一本の中にすでに配色が完成していることです。花束を組むときは、ふつう何種類かの花を組み合わせて色のバランスを作ります。ところが複色の花は、その一本だけで濃淡のグラデーションを持っているので、束ねた瞬間に奥行きが出る。特にノビオバーガンディのように、中心に向かって色が沈んでいくタイプは、花の中心が影のように見えて、束全体に深さを与えてくれます。

濃い赤・黒赤の花が花束で果たしている仕事

花束の中で、濃い色の花はいわば「影」の役割をしています。絵を描くときに、明るい色ばかりでは形が浮き上がってこないのと同じで、花束にも暗い色がひとつ入ると、まわりの明るい色が急に生き生きして見えます。具体的には、次のような働きがあります。

  • 引き締める……淡いピンクやクリーム色ばかりだとぼんやりしがちな束に、濃い赤が一本入るだけで輪郭が出ます。
  • 奥行きを出す……濃い色は目に遠く感じられるため、束の奥に配置すると立体感が生まれます。逆に手前に置くと、そこが視線の止まる場所になります。
  • 甘さを抜く……ピンク中心の可愛らしい束を、大人っぽい方向へ寄せたいときに効きます。男性への贈りものや、落ち着いた雰囲気にしたいときに便利な一手です。
  • 色数が多くてもまとまる……いろいろな色が混ざって散らかって見えるとき、濃い色を数本入れると全体が一枚の絵のようにまとまります。

本数の目安としては、10本前後の小さな花束なら濃い色は1〜2本、20本以上のしっかりした花束なら3〜5本くらいから試してみると、やりすぎになりにくいです。濃い色は面積が小さくても強く効くので、「ちょっと足りないかな」と思うくらいがちょうどよいことが多いように思います。

合わせやすい色・合わせにくい色

バーガンディは、実はとても懐の深い色です。赤・紫・黒という3つの要素を含んでいるので、そのどれかを手がかりにすれば、たいていの色とつながることができます。相性のよい組み合わせをいくつか挙げてみます。

  • くすんだピンク、ベージュ、スモーキーな紫……同じ系統でトーンをそろえる、いちばん失敗の少ない合わせ方です。全体が一枚の布のようにまとまります。
  • 白、アイボリー……濃淡の差がはっきり出るので、きりっとした印象に。白は花束の中で「余白」の役割をしてくれます。
  • くすんだ緑、銀葉……ユーカリのような灰みがかった葉と合わせると、色が沈みすぎず、上品にまとまります。
  • 深いオレンジ、からし色……秋らしい組み合わせ。同じくらいの暗さでそろえるのがコツです。
  • 濃い青紫……紫のニュアンスでつながるので、意外なほど自然になじみます。

逆に、少し気をつけたほうがよい合わせ方もあります。避けなければいけない、というほど厳しい話ではなく、「難しくなりやすい」という程度に受け取ってください。

  • 蛍光色に近い明るいピンクや黄色……鮮やかさの度合いが違いすぎて、お互いを打ち消し合ってしまうことがあります。
  • 同じくらい濃い色ばかりを集める……深い赤、濃い紫、黒っぽい葉ばかりだと、暗く沈んで見えます。どこかに明るい色や白を入れて、息をつく場所を作ってあげてください。
  • 純粋な赤との組み合わせ……同じ赤でも、鮮やかな赤とバーガンディを並べると、バーガンディのほうが「色あせた赤」に見えてしまうことがあります。あいだにクリーム色などを挟むと落ち着きます。

飾る場所も、色の見え方に大きく関わります。暗い色の花は、光の少ない場所に置くと壁と同化して沈んで見えがちです。窓辺や明かりの近く、白い壁の前など、光が当たる場所に置くと、あの赤紫の深みがきちんと出てきます。

神楽坂に移転してきた頃の話

2025年6月。神楽坂に移転してきて10年が経ちました。今でさえ、「ノビオバーガンディ」に対してのお客様の声はほとんどなくなりましたが、移転してきたばかりの頃、沢山のお客様から「え〜!これカーネーションなの?」「見たことない!!」「これ本物??」などの声をいただきました。

しかも、カーネーションがあまり好きではないお客様から「これだったら飾ってもいいかも!」と言うお言葉をいただけた時は私もびっくりしました。

10年という時間は、花の見え方も変えていきます。当時は珍しかった複色の品種が、今では店頭に当たり前のように並ぶようになりました。驚きの声が減ったというのは、それだけこうした花が暮らしの中になじんできた、ということでもあるのだと思います。珍しいから飾るのではなく、好きだから飾る。そういう選ばれ方をするようになった花は、きっと強いのだろうと思います。

持ち帰ってから、長く楽しむための扱い方

カーネーションは、切り花の中では比較的日持ちのよい花として知られています。とはいえ、扱い方でずいぶん差が出ます。ここからは、家に持ち帰ってからのお手入れを、順番に見ていきましょう。難しいことはひとつもありません。

切るのは「節の少し上」

カーネーションの茎を触ると、竹のように、ところどころぷくっとふくらんだ部分があります。これが「節(ふし)」で、葉が出ている場所です。この節の部分は組織が詰まっていて、水を吸い上げる力が弱いと言われています。ですから、節そのものではなく、節から少し上(節と節のあいだ)で切るのが基本です。切り口から節までの距離が長いほうが、水を吸い上げやすくなります。

切るときは、よく切れるハサミかナイフで、斜めに切ってください。断面の面積が広くなり、水に触れる部分が増えるため、水の上がりがよくなります。切り口がつぶれると水を吸えなくなるので、切れ味の悪いハサミで押しつぶすように切るのは避けたいところです。

水に浸かる部分の葉は、あらかじめ取り除いておきましょう。葉が水に沈んだままだと腐って水が濁り、雑菌が増えて、茎が水を吸えなくなる原因になります。

水は「浅め」でよい

意外に思われるかもしれませんが、カーネーションを生ける水は5センチほどの浅さで十分だとされています。たっぷり入れたほうが元気そうに思えますが、水が深いと茎が水に浸かる面積が増え、そのぶん傷みやすく、腐りやすくなります。逆に浅すぎると水が切れてしまうので、「花瓶の底に少し」くらいを目安に、こまめに見てあげるのがよい塩梅です。

水替えは毎日、が理想

水替えは、できれば毎日。難しければ2日に1回でも、やらないよりずっと違います。そのときに、花瓶の内側をスポンジや手でこすって洗うことをおすすめします。ぬるっとしていたら、それは雑菌が増えている証拠です。水だけ入れ替えても、花瓶の内側が汚れたままでは意味が薄くなってしまいます。

水を替えるついでに、茎の先を1センチほど切り戻すと、さらに水の上がりがよくなります。毎回でなくても、3〜4日に一度切り戻すだけで、持ちが変わってきます。切り花用の栄養剤(延命剤)を使う場合は、書かれている分量を守って薄めてください。濃すぎると逆効果になることがあります。

果物のそばに置かない——エチレンの話

カーネーションのお手入れで、いちばん覚えておいていただきたいのがこれです。カーネーションはエチレンという気体にとても弱い花の代表格で、エチレンはカーネーションの切り花が老化するしくみに深く関わっていることが知られています。エチレンにさらされると、花びらが内側に丸まるようにしぼんで、あっという間に終わってしまいます。

そしてこのエチレンは、熟していく果物から出ます。りんご、バナナ、メロンなどは特に多いと言われます。ですから、

カーネーションを飾った花瓶は、果物かごの隣に置かない。ダイニングテーブルの上でりんごと並べる、キッチンカウンターでバナナのそばに置く——これがいちばん多い「もったいない置き方」です。少し離すだけで結果が変わります。

ほかにも、たばこの煙や、枯れかけた花もエチレンの発生源になります。同じ花瓶の中で先に終わった花があったら、そのままにせず取り除いてあげてください。傷んだ花を1本抜くだけで、残りの花の寿命が延びやすくなります。

置き場所で気をつけたいこと

  • 直射日光を避ける……明るい場所は好ましいのですが、強い日差しが当たると水が減りやすく、花も早く傷みます。レースのカーテン越しくらいがちょうどよいです。
  • エアコンの風が直接当たる場所を避ける……乾いた風は花びらの水分を奪います。送風口の正面は避けましょう。
  • 風通しは確保する……湿気がこもると傷みやすくなります。閉め切った部屋なら、ときどき空気を入れ替えてあげてください。
  • 夏場は涼しい場所へ……カーネーションが心地よく過ごせるのは、おおむね15〜25度くらいの環境です。真夏はできるだけ涼しい部屋に移してあげると、持ちが違ってきます。

つぼみを咲かせるコツと、咲かないとき

スタンダード咲きのカーネーションでも、脇についた小さなつぼみが一緒に入ってくることがあります。「このつぼみ、咲きますか?」というのは、花屋がよく受ける質問のひとつです。

見分け方の目安があります。ガクの先が少し開いてきていて、中から色のついた花びらがのぞいているつぼみは、咲く見込みが高いとされています。反対に、ガクが完全に閉じていて全体が緑色、指で押すと固いつぼみは、切り花になってから咲くのは難しいと考えられています。まだ花になる準備が整っていない段階で切られているためです。

咲きそうなつぼみを後押しするには、こんな方法が知られています。

  • 切り花用の栄養剤を使う。つぼみが開くにはエネルギーが必要で、糖分を含んだ栄養剤はその助けになると言われています。
  • 明るく、暖かめの場所に置く。寒い場所では開くのに時間がかかります。
  • つぼみが多すぎるときは、育ちの悪いものを間引く。指で軽くつまんでみて中が空洞のようにスカスカなつぼみは咲きにくいので、思い切って取り除くと、残ったつぼみに養分が回りやすくなります。

それでも咲かないことはあります。固いつぼみのまま終わってしまっても、扱いが悪かったわけではありません。もともと咲く段階になかった、と考えていただければと思います。咲いた花を長く楽しむほうに気持ちを向けたほうが、花との付き合いは気楽になります。

贈りものに選ぶとき、色について少しだけ

カーネーションは花言葉がよく話題になる花です。特に色によって意味が変わるとされていて、贈りものにするときに気にされる方もいらっしゃいます。よく言われているところを、いくつか挙げてみます。

  • ……「純粋な愛」「尊敬」といった意味とともに、亡くなった方を偲ぶ花として語られることがあります。
  • 黄色……「友情」「美」という意味がある一方で、「軽蔑」「嫉妬」といった意味も伝えられています。
  • 濃い赤・深紅……鮮やかな赤とは別に、暗い赤にはあまり良くない意味が添えられている、という説明を見かけることがあります。

とはいえ、こうした花言葉は時代や国によって言われ方が変わるもので、絶対的な決まりごとではありません。実際、贈られた側がその意味を知らないことのほうがずっと多いのが現実です。ですから、あまり神経質になる必要はないと思っています。

それでも心配なら、覚えておくとよい考え方がひとつあります。単色でどんと贈るのではなく、組み合わせて贈ることです。ノビオバーガンディのような濃い色も、白やくすんだピンク、やわらかい緑と一緒に束ねれば、花束全体の印象は「深みのある、大人っぽい花束」になります。色の意味が独り歩きしにくくなり、贈る相手の雰囲気に寄せることもできます。

また、母の日にこだわらず、誕生日や記念日、引っ越しのお祝い、男性への贈りものといった場面でも、この色はよく働きます。「カーネーション=母の日」という枠から出て考えると、選べる場面はぐっと広がります。


まとめ

第一回お花の紹介のコーナーはカーネーションの「ノビオバーガンディ」でした。
ちょっとシックな、大人っぽい雰囲気の花束やアレンジメントに使うと、何とも言えない良い雰囲気を演出してくれます。もし店頭にあったら、是非飾ってみてください!!

最後に、この記事でお話ししたことを短くまとめておきます。

  • 「ノビオバーガンディ」は、紫やボルドーを基調にした複色の花色が特徴のノビオシリーズのひとつ。一輪咲き(スタンダード咲き)のカーネーションです。
  • 「バーガンディ」はフランス・ブルゴーニュ地方の赤ワインに由来する色名で、紫と黒のニュアンスを含んだ深い赤を指します。
  • カーネーションはナデシコ科ナデシコ属、地中海沿岸の生まれ。日本には江戸時代にオランダ経由で渡来し、オランダセキチクと呼ばれました。
  • 濃い赤の花は、花束を引き締め、奥行きを出し、甘さを抜いてくれます。少ない本数で効かせるのがコツです。
  • 長持ちさせるには、節の少し上で斜めに切る、水は浅めに、水替えはこまめに、そして果物のそばに置かない。

花屋にとって、いつもある花というのは、いつのまにか風景の一部になっていきます。それでもときどき、朝の仕込みの最中に、水から上げたばかりの一輪の色にはっとすることがあります。ノビオバーガンディは、そういう花です。派手に主張するわけではないのに、目が留まる。

季節が変わっても、この花は一年を通して市場に顔を出してくれます。春の淡い色に合わせれば引き締まり、秋の実ものや紅葉した葉と合わせれば深まり、冬のろうそくの明かりの下ではまた違う表情を見せる。一本だけ買って帰って、小さなグラスに挿しておくのもよいものです。テーブルの端の、その一点だけ色が濃い。それだけで部屋の空気が少し落ち着きます。

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