2026年8月7日(金)。この日は、花屋にとって少し特別な一日です。暦の上で秋が立つ「立秋」であり、同時に「花の日」でもある。季節の折り返しと、花の記念日が、たまたま同じ日に重なります。
とはいえ、8月7日の東京はまだ真夏です。アスファルトは熱を持ち、蝉は朝から鳴きどおしで、「秋」という言葉ほど現実離れした響きもありません。それでも昔の人は、この日を境に手紙の書き出しを変え、贈り物に添える言葉を変えてきました。
なぜ、一年で一番暑い時期に「秋」と言うのでしょうか。そして花屋の店先には、このころ何が起きているのでしょうか。今日はそのお話をゆっくりさせてください。

立秋って、名前だけは知っているけれど……正直、いちばん暑い日ですよね。何かする日なんですか?

行事らしい行事はないんです。でも花屋にとっては、けっこう大きな節目でしてね。挨拶の言葉が変わりますし、市場から届く花の顔ぶれも、このあたりからそろりと変わりはじめます。
2026年の立秋は8月7日(金)——期間は8月22日まで
まず日付を確かめておきましょう。国立天文台が発表している「令和8年(2026)暦要項」によれば、2026年の立秋は8月7日、時刻は20時43分です。次の節気である処暑が8月23日ですから、立秋の「期間」としては8月7日から8月22日までということになります。
「立秋は8月7日」と覚えている方が多いと思いますが、実は毎年きっちり同じではありません。年によって8日になることもあります。これは、立秋という日が「カレンダー上の何月何日」で決められているのではなく、太陽の位置で決まっているからです。ここが立秋を理解する一番の入り口になります。
- 2026年の立秋:8月7日(金)20時43分
- 立秋の期間:8月7日〜8月22日
- 次の節気「処暑」:8月23日(日)
- 暦の上での秋:立秋から立冬の前日まで
一年で一番暑いのに、なぜ「秋が立つ」のか
立秋の前にあるのは「大暑(たいしょ)」——文字どおり、一年でもっとも暑いころとされる節気です。その大暑が終わって、次に来るのが立秋。感覚としては「え、もう?」ですよね。8月7日はまだ夏休みのど真ん中で、日中の暑さはこれからが本番、という日も少なくありません。
二十四節気は「気温」ではなく「太陽の動き」で決まる
この違和感の正体は、暦のつくり方にあります。二十四節気は、太陽が空を一周する道すじ(黄道)を24等分して、季節の目盛りを打ったものです。立秋は、太陽が黄経135度の点を通過する瞬間。つまり気温ではなく、地球と太陽の位置関係で決まっているのです。
暑さのピークが暦とずれるのには理由があります。日照がもっとも強いのは夏至(6月下旬)ですが、地面や海はすぐには温まりません。受け取った熱をため込みながら、じわじわと温度を上げていく。だから体感の暑さは、太陽の高さのピークより1か月半ほど遅れてやってきます。暦は「原因」を、体感は「結果」を示している——そう考えると、ずれはむしろ当たり前なのです。

お風呂の火を止めても、しばらくお湯は熱いままだもんね。地面も同じなんだ。
「立つ」は完成ではなく、折り返しの合図
もうひとつ、立秋を腑に落とすための考え方があります。それは、「立秋=秋になった日」ではなく「夏がピークを越えた日」だと捉えることです。
日の入りの時刻を思い出してみてください。6月下旬の夏至のころ、東京では19時を回ってもまだ空が明るかったはずです。それが8月上旬になると、18時半ごろにはもう夕暮れの色になっている。暑さはまだ手放してくれないのに、光のほうは、とっくに秋へ向かって歩きはじめているのです。
植物は、この「光の変化」に人間よりずっと敏感です。多くの植物は日長(昼の長さ)を測って花芽をつくる時期を決めています。菊が秋に咲くのも、コスモスが秋の花なのも、気温より先に「日が短くなってきた」という信号を受け取っているから。立秋のころに私たちが感じる「なんとなく夕方が早いな」という感覚は、植物にとってはすでにはっきりとした季節の指令なのです。
だから立秋は、山の頂上に立ったところ、と思ってもらえるといいかもしれません。まだ標高は高い。日差しも強い。でも、ここから先は下りです。暑さの絶頂と、季節の折り返しが同じ場所にある——立秋という言葉の不思議さは、そう考えるとすっと収まります。
立秋の七十二候——秋の兆しを、三つに分けて見つめる
二十四節気をさらに三分割して、5日前後ずつの細かな季節に分けたものが「七十二候(しちじゅうにこう)」です。立秋の七十二候は、驚くほど繊細に「秋のきざし」を追いかけています。しかも面白いのは、三つとも目に見えるものではなく、風・声・霧という、つかまえどころのないものを手がかりにしていることです。
- 初候:涼風至(すずかぜいたる)/8月7日ごろ〜
- 次候:寒蝉鳴(ひぐらしなく)/8月12日ごろ〜
- 末候:蒙霧升降(ふかききりまとう)/8月17日ごろ〜
初候・涼風至(すずかぜいたる)——涼しい風が、初めて立つ
「涼しい風が至る」。立秋の最初の5日間につけられた名前です。もちろん、8月7日を境に急に涼風が吹くわけではありません。この候が言っているのは、「これまでの風とは、質の違う風がまじりはじめる」ということだと私は思っています。
真夏の風は、熱を運んできます。吹かれても汗が引かない、あの重たい風。ところが8月の中旬にさしかかるころ、夕方や明け方に、ふっと軽い風が通ることがあります。湿度がわずかに落ちて、肌の上を通り過ぎるときに体温を持っていってくれる風です。夏の風は肌にまとわりつき、秋の風は肌をすり抜けていく——そんなふうに感じます。
花にとっても、この差は決定的です。切り花が水を吸い上げるのは、葉から水が蒸散して、それが引き上げるポンプのように働くからです。湿度と気温が高すぎると、この仕組みのバランスが崩れて、吸い上げが追いつかず茎が傷みやすくなります。涼風が入るようになると、花のもちは目に見えて変わります。立秋を過ぎたころから「今年は花が長くもつね」と言われることが増えるのは、気のせいではないのです。
とはいえ、8月はまだ油断できません。この時期の花のあつかいについては切り花を長持ちさせる方法まとめにまとめてありますので、あわせてどうぞ。水を毎日替える、花瓶をきれいに洗う、直射日光とエアコンの直風を避ける。この三つだけでも、8月の花のもちはずいぶん違います。
次候・寒蝉鳴(ひぐらしなく)——カナカナと鳴く、涼しい蝉
「寒蝉」と書いて「ひぐらし」。この候はいつも、七十二候のなかでいちばん詩的だなと思います。
ヒグラシは体長3〜4cmほどの小ぶりな蝉で、「カナカナカナカナ……」という、澄んだ金属質の声で鳴きます。ミンミンゼミやアブラゼミが真昼の炎天下で全力を出すのに対して、ヒグラシが好むのは日の出前と日没後の、薄明かりの時間帯。曇って薄暗くなったとき、気温が下がったとき、あるいは杉林のように暗い林の中では、日中でも鳴くと言われています。
つまりヒグラシは、明るさと涼しさに反応する蝉なのです。名前の「日暮らし」も、そこから来ています。同じ夏の蝉でも、暑さの真ん中で鳴くものと、暑さのふちで鳴くものがいる。昔の人は、その「ふち」のほうの声に、秋のはじまりを聞き取った。私はここに、日本の季節感の細やかさが凝縮されているように思います。
ヒグラシの声が響くのは、だいたい7月中旬から8月中旬にかけて。ちょうど立秋の次候と重なります。神楽坂のような街中でも、夕暮れどきに窓を開けておくと、遠くの木立からあの声がとどくことがあります。もし聞こえたら、少しだけ手を止めてみてください。あれは、夏がゆっくり店じまいをはじめる音です。

ヒグラシの声って、なんで涼しく感じるんでしょうね。音なのに温度がある気がします。

鳴く時間帯が夕方や明け方に寄っているから、というのはあると思いますよ。涼しい時間に聞く声だから、涼しい声として記憶される。花の香りも同じで、朝いちばんに嗅いだ香りって、その花の印象そのものになりますからね。
末候・蒙霧升降(ふかききりまとう)——朝の霧が、立ちのぼる
立秋の最後の5日間は、「深い霧がまとわりつく」。8月17日ごろからのころあいです。
霧が出る仕組みは、実はシンプルです。空気は温度が高いほど多くの水蒸気を抱えていられます。夏のあいだ、空気はたっぷりと湿り気を含んでいる。そこへ、朝晩の気温が少しずつ下がりはじめると、抱えきれなくなった水蒸気が小さな水の粒になって現れる。それが霧です。つまり霧は、「空気が冷えはじめた証拠」そのものなのです。
山あいや川べりでは、この時期の早朝に白い帯がかかる景色が見られます。都市部ではなかなか本格的な霧にお目にかかれませんが、かわりに気づくのが朝露です。ベランダの植木鉢の葉先に、小さな水の玉が並んでいる朝。あれも、蒙霧升降と同じ理屈で起きています。
植物にとって、この朝の湿り気はごちそうです。夏じゅう乾いた空気にさらされてきた葉が、明け方だけ水気を取り戻す。お盆を過ぎたころから観葉植物の元気が戻ってくるのを感じたことのある方は多いと思いますが、日長と気温、そしてこの朝の湿度が同時に変わりはじめるからです。
涼しい風、ヒグラシの声、明け方の霧。三つとも、写真には撮りにくいものばかりです。秋のはじまりは、目より先に、肌と耳が気づく。七十二候はそれを、千年以上前からちゃんと言葉にしていました。
8月7日は「花の日」、そして「花文化の日」
さて、ここからは花屋としての本題です。同じ8月7日には、花にまつわる記念日が重なっています。
「は(8)な(7)」の語呂合わせ
8月7日が「花の日」とされているのは、「は=8」「な=7」という、いたってシンプルな語呂合わせによります。花に親しみ、花を贈り、花を飾る日、というくらいの、おおらかな記念日です。
もう一つ、同じ8月7日には「花文化の日」があります。こちらは制定の経緯がはっきりしていて、NPO法人「花文化を無形文化遺産に推める会」が制定し、2018年(平成30年)に一般社団法人・日本記念日協会によって認定・登録されました。日本の花見・華道・園芸といった「花にまつわる文化」を、ユネスコの無形文化遺産登録へ——という願いを込めた記念日です。日付の由来はやはり「は・な」の語呂合わせだと言われています。
- 花の日/8月7日。「は(8)な(7)」の語呂合わせ。花に親しむ日
- 花文化の日/8月7日。NPO法人「花文化を無形文化遺産に推める会」が制定。2018年に日本記念日協会が認定・登録
花屋として、この日をどう受け取るか
「花文化」という言葉を聞くと、つい華道や盆栽のような、格式のあるものを思い浮かべます。でも私は、もっと手前のところに花文化があると思っています。
玄関に一輪だけ挿す。仏壇の水を替える。誰かの誕生日に、名前も知らないけれど「きれいだったから」という理由で花束を選ぶ。季節の花を見て「もうこんな時期か」とつぶやく。そういう名もない習慣の積み重ねが、この国の花文化だと思うのです。
そして立秋と花の日が重なる8月7日は、その両方を同時にやれる日でもあります。季節が折り返す日に、花を一本買って帰る。記念日らしいことは何もしなくていい。ただ、その一本が家にあるだけで、その年の8月7日は記憶に残ります。

花の日だからといって、特別なブーケを用意しなきゃいけない、とは思っていないんです。むしろ「今日は花の日らしいですよ」とお伝えして、一本だけ持って帰っていただけたら、それがいちばん記念日らしいなと。
暑中見舞いから残暑見舞いへ——切り替えの境目が8月7日
立秋がもっとも実務的な意味を持つのが、この「季節のご挨拶」です。ここは毎年ご相談の多いところなので、しっかり整理しておきましょう。
日本郵便の目安は「小暑から立秋の前日まで」
日本郵便の案内では、暑中見舞いは二十四節気の「小暑(7月7日ごろ)」から「立秋の前日(8月7日ごろ)」にかけて送るのが通例とされています。そして、そこに添えられている一文がとても示唆的です。「実際の暑さより暦が基準になります」。
残暑見舞いは、立秋から8月末ごろまでに届くように。遅くとも「処暑の候」までには、というのが一般的な目安です。
- 暑中見舞い/小暑(7月7日ごろ)〜8月6日まで(立秋の前日)
- 残暑見舞い/8月7日(立秋)〜8月末ごろまで
- どちらも「暑さの実感」ではなく暦を基準にする
- 2026年は8月7日が立秋なので、6日と7日で言葉が入れ替わる
暑さのピークがこれからだとしても、8月7日を過ぎたら「残暑お見舞い」。暦のほうが体感より先を歩いているという、立秋そのものの性格が、そのまま礼儀作法になっているわけです。
変わるのは、はがきだけではありません
ここが花屋として、いちばんお伝えしたいところです。
切り替わるのは手紙の書き出しだけではありません。贈り物に添えるメッセージカード、お花につける立て札や短冊、のしの表書き——これらも同じ考え方で、8月7日を境に言葉が変わります。
- 〜8月6日/「暑中お見舞い申し上げます」「暑中御見舞」
- 8月7日〜/「残暑お見舞い申し上げます」「残暑御見舞」
- 目上の方へは「お伺い」を使うのが丁寧とされます(暑中御伺い/残暑御伺い)
注意していただきたいのは、基準になるのは「注文した日」ではなく「相手に届く日」だということです。8月5日にご注文いただいても、お届けが8月8日なら「残暑お見舞い」になります。お盆前後の配送は混み合いますから、8月上旬のご注文では、この一点をいつも確認させていただいています。

知らずに「暑中お見舞い」で贈っていたかもしれません……。これって、間違えると失礼になりますか?

気を悪くされる方はまずいらっしゃいませんよ。ただ、お相手が礼儀を大切にされる方だったり、お仕事の関係だったりすると、揃えておいたほうが安心ではあります。迷われたら遠慮なく聞いてください。お届け日から逆算してご案内します。
お中元との関係——時期を過ぎたら「残暑御見舞」で
お中元の時期は地域によってずれがあり、一般に関東ではおおむね7月上旬〜7月15日ごろ、関西では7月中旬〜8月15日ごろとされています。近年は全国的に前倒しの傾向もあると言われますが、いずれにしても「お中元」として贈れる期間には終わりがあるという点は共通です。
時期を過ぎてしまった場合、表書きを変えて贈るのが慣例です。
- お中元の時期内/「御中元」
- お中元の時期を過ぎ、立秋前まで/「暑中御見舞」(目上の方へは「暑中御伺い」)
- 立秋(8月7日)以降/「残暑御見舞」(目上の方へは「残暑御伺い」)
お花を贈り物にする場合も、この階段はそのまま当てはまります。「間に合わなかった」ではなく「季節に合わせて言葉を変えた」——そう考えると、暦の切り替えはむしろ味方です。うっかり遅れたときにも、ちゃんと逃げ道が用意されている。昔の人の実用的な優しさだと思います。
立秋のころ、花屋の店先にはもう秋が届きはじめる
「花屋の店先は、季節を一足先に行く」。これは花屋にいるとしみじみ実感することです。
桜の枝は真冬に、チューリップは年内に、ひまわりは梅雨の前に。市場には、街の季節より少し早い季節が届きます。理由はいくつかあって、産地が北にも南にもあること、ハウス栽培や電照栽培で開花時期を調整できること、そして何より贈り物や飾りは「これから来る季節」を先取りするものだからです。
ですから、8月のお店には、真夏の花と秋の走りが同居します。ひまわりとりんどうが同じバケツの並びに立っている——8月の花屋にしかない、ちょっと不思議な光景です。
このころ見かけるようになる、秋の走りの花
以下は「立秋のころから見かけることが増える花」の一例です。入荷の時期や量はその年の天候・産地の状況によって前後しますので、「必ずこの時期にある」というものではありません。あくまで、季節の目印としてお読みください。
- りんどう/秋の代表格。青紫の色は、暑さの残る部屋にすっと涼を入れてくれます。花を上向きにつけるので、束ねたときに姿がまとまりやすいのも魅力。切り花としては夏から秋にかけて出回りが増えていきます
- われもこう/茶褐色の小さな花穂を細い茎の先につける、野趣のある草花。一本あるだけで、束の空気が一気に秋になります
- すすき/穂が開く前の若い状態から出回りはじめます。風を感じさせる線として、他の花を引き立てる名脇役
- 鶏頭(ケイトウ)/深い赤やオレンジ、ビロードのような質感。夏の花のようでいて、色は完全に秋。夏から秋へ渡す橋のような存在です
- 実物(みもの)/野バラの実、ヒペリカム、白玉星草など。花ではなく「実」が飾りの主役になるのは、季節が実りへ向かっているしるしです
- 秋色あじさい/初夏に咲いたあじさいが、そのまま枝で色を落ち着かせたもの。くすんだ緑や赤紫が、夏の名残と秋のはじまりの両方を抱えています
茶花の世界では、こうした「秋を待つ花」がとりわけ大切にされます。派手さより、季節のきざしを一輪に託す考え方です。そのあたりのお話は茶花の話——秋を待つ4つの花にまとめてありますので、立秋のころの飾りを考えるときのヒントにしていただけたら嬉しいです。

ひまわりの隣にりんどうが立ってるの、季節がすれ違ってるみたいでちょっと面白いね。
夏の飾りから秋の飾りへ——一気に変えず、ひとつずつ
立秋を過ぎたからといって、家じゅうの飾りを秋に総入れ替えするのは早すぎます。実際まだ暑いですし、真っ赤な紅葉色の飾りは、8月上旬の部屋では浮いてしまいます。おすすめしたいのは、「少しずつ、色から」という切り替え方です。
1.色を、一段落とす
夏の飾りは、白・青・透明感のある水色といった「涼しさ」を演出する色が中心です。立秋を過ぎたら、そこにくすんだ色をひとつ足す。青紫、えんじ、こげ茶、枯れた緑。彩度を落とした色が一色入るだけで、同じ花束が急に落ち着いて見えます。
2.線のある草ものを一本入れる
すすき、われもこう、なるこゆりなど、細く揺れる草ものを一本添えるだけで、束に「風」が生まれます。夏の花はどうしても塊の存在感で見せるので、そこに縦の線が入ると、空気が動いて秋らしくなります。
3.花器をガラスから、土ものへ
これは花を替えるより手軽で、効果の大きい方法です。夏じゅう活躍したガラスの花瓶を、陶器やかご、金属のものに替えてみてください。同じ花でも、器が変わるだけで季節が動きます。透明は光を通して涼しく、不透明は光を止めて落ち着く。それだけの違いなのですが、部屋の印象はずいぶん変わります。
4.飾る場所を、少し低くする
細かい話ですが、夏は高い位置に飾ると涼しげに見え、秋は低い位置に置くと落ち着いて見えます。テーブルの中央より、少し端へ。目線より下に花があると、人はくつろぎを感じるようです。
一度にぜんぶやる必要はありません。立秋から処暑までの2週間かけて、少しずつ。季節がそうやって移り変わるのですから、部屋もそのくらいのゆっくりさで構わないと思います。

花器を替えるだけっていうのは、すぐできそうですね。花を買い替えなくていいのがありがたいです。
2026年8月の暦——天赦日はなく、一粒万倍日が5日
贈り物やあらたまったご挨拶の日取りを考えるとき、吉日を気にされる方もいらっしゃいます。2026年8月の暦を確認しておきましょう。
- 天赦日/2026年8月はありません
- 一粒万倍日/8月3日・8月13日・8月18日・8月25日・8月30日
一粒万倍日は「一粒の籾が万倍に実る」という、種まきや始めごとに縁起がよいとされる日です。もともとが稲作の言葉ですから、植物とはとても相性のいい吉日だと感じます。何かを始める日、贈り物をお届けする日として選ばれる方が多いですね。
ちなみに立秋当日の8月7日は一粒万倍日ではありませんが、「花の日」と重なるという点では、これ以上ない日だと思います。残暑見舞いのお花を手配するなら、8月7日以降の一粒万倍日——13日、18日あたりをお届け日に設定するのも、ひとつの考え方です。
年間の吉日と植物の関わりについては、吉日・暦カレンダーと植物まとめに一年分をまとめています。贈り物の日取りを考えるときに、のぞいてみてください。
ただ、吉日は「そうしなければならない決まり」ではありません。大切なのは、贈りたいと思ったその気持ちが冷めないうちに贈ること。暦はそれを後押しする道具であって、ブレーキではないと思っています。
🛒 立秋のころ、飾りを秋へ移すために
🏺 Clay fuji クリアー——ガラスの花器。夏の名残と秋の走りを、どちらも受け止めます
💧 クリザール フラワーフード——残暑の水は傷みやすいので、あると安心です
立秋のころ、桔梗屋でできること
神楽坂の桔梗屋では、8月に入るとご相談の内容がはっきり変わります。前半は「暑中見舞いに」、後半は「残暑見舞いに」。同じお花でも、添える言葉が変わるだけで、届いたときの表情が変わるから不思議です。
- 残暑見舞いのお花/立て札・メッセージカードの表書きも、お届け日に合わせてご案内します
- お中元の時期を過ぎてしまった贈り物/「残暑御見舞」「残暑御伺い」への切り替えをご相談ください
- 秋の走りの花を使った花束・アレンジ/その日に届いているものの中から、季節の一歩先をご提案します
- 「花の日」に一輪/贈り物でなくても大丈夫です。ご自宅用の一本も、どうぞお気軽に
入荷するお花はその日その日で違います。「秋らしいものを」「涼しげなものを」といった曖昧なご希望で構いませんので、そのまま伝えてください。言葉にしにくい季節感を形にするのが、花屋の仕事です。

8月7日は、暑いなかを歩いてきてくださる方が多い日です。お店の中は花のために涼しくしてありますから、涼みがてらのぞいていただくだけでも歓迎ですよ。
まとめ——暦は、体感より少し先を歩いている
最後に、この記事のポイントを並べておきます。
- 2026年の立秋は8月7日(金)、期間は8月22日まで(国立天文台の暦要項による)
- 二十四節気は気温ではなく太陽の動きで決まる。だから一番暑い時期に「秋が立つ」
- 立秋は「秋になった日」ではなく「夏がピークを越えた日」と捉えると腑に落ちる
- 七十二候は涼風至(8/7ごろ〜)・寒蝉鳴(8/12ごろ〜)・蒙霧升降(8/17ごろ〜)。風・声・霧という、目に見えないもので秋を測る
- 8月7日は「花の日」(は=8・な=7)。同じ日に「花文化の日」もあり、2018年に日本記念日協会に認定・登録された
- 暑中見舞いは8月6日まで、残暑見舞いは8月7日以降〜8月末。手紙だけでなく、贈り物やお花に添える言葉も同じ日に切り替わる
- 基準は注文日ではなく「相手に届く日」
- 店先にはりんどう・われもこう・すすき・鶏頭・実物など秋の走りが並びはじめる(入荷は年により前後します)
- 家の飾りは一気に替えず、色・線・花器・置く高さを少しずつ
- 2026年8月に天赦日はなし。一粒万倍日は8/3・8/13・8/18・8/25・8/30
暦というのは、いつも体感より少し先を歩いています。まだ暑いのに秋と言い、まだ寒いのに春と言う。最初は不便な仕組みに思えますが、暮らしてみると、これがちょうどいい。「そろそろだよ」と先に教えてくれるから、こちらは慌てずに支度ができる。
2026年8月7日。まだ蝉が鳴いていて、日差しは容赦なくて、それでも夕方の風にほんの少し違う匂いがまじる日。花の日でもあるこの一日に、季節の先を行く花を一本、手に取ってみませんか。
神楽坂の桔梗屋で、お待ちしています。
KIKYOYA FLOWERS
東京・神楽坂の花屋 桔梗屋
季節のお花、観葉植物、贈りもののご相談を承っています。
ご自宅用の一輪から、お祝い・お供えのお花まで、どうぞお気軽に。

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